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高浜4号緊急停止・・安全軽視、電力会社の責任重大

 

(写真=毎日テレビより) 白い蒸気をあげる原子炉建屋が4号機
(写真=毎日新聞 電子版の動画より=引用は山本雅彦)
白い蒸気をあげる原子炉建屋が4号機(右上)

 2月26日に再稼働したばかりの関西電力高浜原発4号機(福井県)が、わずか3日後の29日に緊急停止、点検のため原子炉の温度を下げる「冷温停止」状態に入っています。トラブルの原因は不明で、改めて再稼働させるめどは立っていません。再稼働を強行した関西電力や安倍晋三政権はもちろん、再稼働を認めてきた原子力規制委員会の責任は重大です。原発の再稼働は中止すべきです。

スケジュール優先の暴走

 高浜原発では3号機が1月に再稼働、営業運転に入っており、4号機も再稼働すれば九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)に続く、国内2カ所目の複数炉運転の原発になる予定でした。関西電力は高浜原発で運転開始から40年を経過した老朽原発の1、2号機についても再稼働を目指しており、原子力規制委員会も新しい規制基準に「適合」すると認める審査書案を公表しています。4号機が冷温停止に入り再開のめどが立っていないことは原発再稼働の危険性を改めて浮き彫りにしています。

 4号機は再稼働直前にも放射性物質で汚染された1次冷却水が弁から漏れる事故が発生、関西電力は原因とみられるバルブを締めなおしただけで、再稼働を強行しました。再稼働のスケジュールを優先させたともいえる関西電力の姿勢に、住民だけでなく政府のなかからも懸念の声が上がっていました。再稼働直後のトラブルはその懸念を証明した形です。

 事故は29日に4号機で発電と送電を開始した途端に起きました。送電側から想定を超える電流が流れ、発電機と変圧器が停止、続いて原子炉も緊急停止したというものです。原子炉はその後点検のため冷温停止に入り、核燃料が核分裂を起こさない再稼働以前の状態です。関西電力は原子力規制委員会に報告を求められており、再び稼働させるには規制委の了承が必要です。関西電力は事故原因を徹底究明すべきです。安全の軽視は関西電力の原発を運転する資格そのものに疑問を提起しています。

 もともと4号機はもちろん3号機の再稼働も、電力が不足しているわけでもないのに、火力発電所の燃料費などを節約しもうけを増やしたい関西電力が、住民の反対や周辺自治体の不安を押し切って強行したものです。原発が集中立地する福井県の西の端にある高浜原発は、地震や津波による事故の危険だけでなく、集中立地による事故連鎖の危険もあります。事故を起こせば、福井県内だけでなく京都府や滋賀県にも被害が及びます。事故の際の避難の体制は確立していません。再稼働をしゃにむに急ぐのは無法横暴の極みであり、関西電力は再稼働の強行そのものを断念すべきです。

原発は未完成の技術

 高浜原発3、4号機は運転開始から30年以上たっており、経年劣化などが懸念される原発です。長期にわたる運転停止の影響も考えられます。なにより原発は未完成な技術で想定できないトラブルや事故の危険もあります。

 東京電力福島第1原発の重大事故は、原発が大事故を起こせば取り返しのつかない被害をもたらすことを浮き彫りにしました。高浜原発4号機の緊急停止のトラブルを軽視せず、必要性もない危険な原発の再稼働は直ちに中止すべきです。

(「しんぶん赤旗」2016年3月5日より転載)