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高浜1・2号 老朽原発も「適合」・・規制委が審査書案了承/渡辺高浜町議がコメント

(写真)関西電力高浜原発1、2号機(手前の2基)=福井県
(写真)関西電力高浜原発1、2号機(手前の2基)=福井県

 運転から40年以上になる老朽原発、関西電力高浜原発1、2号機(福井県高浜町)について、原子力規制委員会は2月24日、再稼働に必要な審査のうち、新規制基準に「適合した」とする審査書案を了承しました。40年を超えて運転延長をねらう原発では初の審査書案で、一般からの意見募集を経て正式に決定されます。しかし、原発は運転期間が長くなればなるほど壊れやすく、事故が起きた時の危険性が高いため、老朽原発は動かすべきではないと声が上がっています。

 原子炉等規制法は、原発の運転期間を原則40年とした上で、設備や機器の劣化を点検し、老朽化対策の審査に合格すれば、最長20年の延長を認めています。

 高浜原発1号機は1974年11月、2号機は75年11月に運転開始。7月7日までに新規制基準のほか、設備の詳しい設計を定めた工事計画の認可や、老朽化対策の審査が通っていなければ、廃炉になる可能性があります。審査も優先的に行われてきましたが、原子炉設備の耐震設計方針などは先送りしています。

 審査書案によると、1、2号機は古い原発のため原子炉建屋内のケーブルに防火性能の不十分な素材が使われていますが、規制委はそのケーブルを防火シートで覆うなどの関電の方針を了承。先に再稼働した3号機や、26日にも再稼働をねらう4号機との4基同時被災対策では、号機ごとに独立した対応を「適切な方針」と容認し、それが困難な場合の必要な対策については関電に「求めた」と述べるにとどまっています。

 1、2号機を運転する場合、関電は緊急時対策所などを設置する方針を示していますが、工事に3年ほどかかるとされ、完成するまでは運転できません。

 関電は、美浜原発3号機(76年12月運転開始、福井県美浜町)についても、運転延長へ向けて審査を申請しています。

(「しんぶん赤旗」2016年2月25日より転載)


高浜原発再稼働・・国民の不安まだ踏みにじるか

 福井県高浜町にある高浜原発について、関西電力が1月の3号機に続いて4号機も26日に再稼働させようとしています。それに加え、原子力規制委員会が運転開始から40年を経過した1、2号機についても再稼働の前提となる審査書案をまとめました。老朽炉では初めてです。原発事故に不安を募らせ、再稼働に反対している住民の気持ちを逆なでする危険な暴走です。東日本大震災から5年になる東京電力福島第1原発の重大事故はいまだに収束せず、住民の避難生活も続いています。「原発ゼロ」を切望する国民多数の意向を無視した再稼働の強行は許されません。

「スケジュール第一」で

 高浜原発は、敦賀、美浜、大飯などの原発が集中する福井県と京都府との府県境に位置し、いったん事故が起きれば京都府や滋賀県にも被害を及ぼす危険な原発です。活断層などによる地震の対策や津波対策も不十分で、いくつもの原発が同時に事故を起こす集中立地による危険性は検討対象にさえなっていません。安倍晋三政権や関西電力、3、4号機の再稼働に同意した福井県や高浜町は原子力規制委の審査に合格したことを根拠にしていますが、規制委の審査が安全性を保証するものでないことは、当の規制委自体が繰り返し表明していることです。

 実際、3、4号機については、福井地裁が昨年4月、規制委の「基準は緩やかにすぎ(る)」と再稼働を差し止めたため、規制委が審査に適格すると決めた後も再稼働できず、関西電力が異議を申し立て、昨年末仮処分を撤回させてようやく再稼働に持ち込めたものです。3号機は1月末再稼働させましたが、4号機は再稼働直前になって準備中に冷却水漏れが発覚、弁を修理しただけで、予定通り再稼働させることになりました。林幹雄経済産業相でさえ、「スケジュールありきではなく安全第一で」といわざるを得ない状態です。

 東京電力福島原発の事故後、長期にわたって全国の原発が停止していても電力不足は起きていません。にもかかわらず、もともと原発への依存度が高かった関西電力は、原発停止中の火力発電所などの燃料費負担などを免れるため、再稼働を急いでいます。高浜原発再稼働は、文字通り、関西電力のスケジュールに合わせたものです。

 全国の原発では九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)がすでに再稼働していますが、高浜原発3、4号機は使用済み核燃料を再処理して取り出す猛毒のプルトニウムをウランと混ぜて燃やす「プルサーマル」炉での最初の再稼働です。プルサーマルは制御が難しいといわれます。政府や電力会社がプルサーマルに熱心なのは使用済み核燃料がたまりすぎ、再処理で取り出すプルトニウムの処分を迫られているからです。高浜原発の再稼働に道理がないのは、この点からも明らかです。

老朽炉の再稼働は断念を

 安倍政権や関西電力が、老朽化した高浜原発1、2号機まで再稼働させようとしているのはまさに言語道断というほかありません。実際に再稼働させるには老朽化対策などの審査が残っていますが、原子炉等規制法で「原則40年」となっている運転期間を超えて稼働させれば、事故の危険が格段に高まります。老朽炉まで再稼働させる策動はただちに断念すべきです。

(「しんぶん赤旗」2016年2月25日より転載)


高浜老朽原発 規制委容認 住民の安全が犠牲に・・渡辺孝・高浜町議(日本共産党)のコメント

watanabe 原子力規制委員会が2月24日、関西電力高浜原発1、2号機(福井県高浜町)について新規制基準に適合したとする審査書案を了承したことに対し、日本共産党の渡辺孝・高浜町議がコメントしました。

 高浜原発1、2号機が建設された当時は、原発の寿命は30年といわれたものです。それを2倍の60年間に運転延長するというのはきわめて危険です。

 高浜1号機の脆性(ぜいせい)遷移温度は95度と、関西電力が若狭湾に所有する11基の原発のなかで最も高くなっています。脆性遷移温度は、重大事故で原子炉内の冷却水が大量に失われたとき、緊急炉心冷却装置により冷却水が補給されるわけですが、これによって炉内の水温が一定温度以下になると原子炉が壊れる恐れがあるという温度です。

 また避難計画も机上のもので、なんら実効性はありません。

 関西電力は、大規模地震によって中央制御室の機能が失われた場合の代替施設である「緊急時対策所」を、免震性ではなく耐震性の建物を建設する計画です。耐震性では、建物は壊れなくても、内部の原子炉をコントロールする重要な機器、設備が損傷する恐れがあります。電力会社のもうけのために住民の安全を犠牲にする姿勢に怒りを感じます。

(「しんぶん赤旗」2016年2月25日より転載)