東京電力福島第1原発事故を受け、福島県南相馬市の一部に出ている避難指示の解除に向け、政府は2月20日、同市で説明会を開きました。政府が放射線量が高い帰還困難区域を除き、4月中に避難指示を解除したいとの意向を示したのに対し、住民からは除染が不十分との指摘が続出、反対する意見が相次ぎました。桜井勝延市長は「4月に解除するのは難しい」と述べました。
説明会は、避難指示区域の南相馬市小高地区で開かれ、住民約350人が出席。住民からは、除染が完了しておらず、「安心して住める環境ではない」などと放射能不安を訴える声が上がりました。解除後、すぐに戻る住民が少ないとみられ、「安全を確保するのが大切だ」と治安対策を求める意見も出ました。
南相馬市の帰還困難区域を除く避難指示区域では、1月末現在、宅地の除染が87%終了しており、3月末には完了する見通しですが、農地や道路は3割程度にとどまっています。
解除対象は、同市南西部の居住制限区域と避難指示解除準備区域で、人口は計3662世帯、1万1663人(昨年9月現在)。解除が実現すれば、これまでで最大規模となります。
(「しんぶん赤旗」2016年2月21日より転載)