多数の点検漏れなどの不祥事が相次ぎ、原子力規制委員会から運営主体交代の勧告を受けた高速増殖炉「もんじゅ」(福井県)について、運営する日本原子力研究開発機構が、廃炉費用を約3000億円とする試算をまとめていたことが2月16日、分かりました。1995年のナトリウム漏れ事故で停止後、ほとんど稼働していないもんじゅには既に1兆円を超える国費を投入。仮に現時点で廃炉にしたとしても、多額の費用が掛かることになります。
原子力機構によると、試算は2012年に、廃炉期間を約30年として実施。費用の内訳は、定期検査費用や電気代、人件費など維持管理費に約1500億円、施設解体費に約1300億円、使用済み燃料の取り出しに約200億円。
中間貯蔵費は試算に盛り込みましたが、場所が未定のため、さらに輸送費が掛かります。
一般の商用原発(軽水炉)では、既に廃炉を決定している中部電力浜岡原発1、2号機(静岡県)が2基で合計約841億円、関西電力美浜原発1、2号機(福井県)が同約680億円とそれぞれ試算しており、ナトリウムを冷却に用いる研究開発炉というもんじゅの特殊性から、高額になっています。
(「しんぶん赤旗」2016年2月17日より転載)