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立地自治体に162億円交付・・プルサーマル推進 原資は電気料金

音海地区から見える関西電力高浜原発3、4号機(右奥)=1月29日午後、福井県高浜町
音海地区から見える関西電力高浜原発3、4号機(右奥)=1月29日午後、福井県高浜町

 ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を通常の原発で使うプルサーマルを推進するため、国が立地県・市町村に支出した関連交付金が計162億円以上に上ることが1月23日、各自治体への取材で分かりました。交付金の原資は電気料金に上乗せされる電源開発促進税で、消費者負担の下、多額の資金が投じられた実態が浮かび上がりました。

 使用済み核燃料を再処理したMOX燃料を使うプルサーマルは、国内では2009年以降、九州電力玄海原発3号機(佐賀県)と四国電力伊方原発3号機(愛媛県)、東京電力福島第1原発3号機(福島県)、関西電力高浜原発3号機(福井県)で実施。高浜3号機は29日にプルサーマルで再稼働しました。

 時事通信は関連交付金のうち、08年度までにプルサーマルを事前了解した立地道県に最大60億円が提供される核燃料サイクル交付金

▽09年度までに電力会社が実施を申し入れた場合、電源立地地域対策交付金が5年間で最大1億円加算される制度−−を調べました。対象となる9道県10市町村のうち、7県10市町村は両方またはいずれかの交付金を受けていました。

 一方、北海道電力泊原発3号機を抱える北海道と、中部電力浜岡原発4号機がある静岡県はプルサーマルを了解しましたが、両交付金の申請を見合わせています。11年に発覚したプルサーマル説明会のやらせ賛同問題や福島原発事故を考慮したといいます。

 プルサーマルを実施した原発がある県では、14年度末で佐賀県に約60億9700万円、愛媛県に約60億5900万円支給されました。福井県には13年度末で約24億8600万円が支払われ、15年度まで交付されます。

 青森県は14年度末でJパワー大間原発分として約7億円を受領。最大50億円が実施後に交付されますが、建設中で交付時期は見通せません。

 10市町村のうち7市町村は電源立地地域対策交付金で各1億円が上乗せされましたが、福島県双葉町は原発事故で2000万円の受け取りで終了。同県大熊町と宮城県石巻市は交付額について「不明」と回答しました。

解説・・プルサーマル関連交付金

 プルサーマル発電を2008年度までに事前了解した道県には、核燃料サイクル交付金が開始までに10億円、開始後は5年間で50億円支給されます。09年度以降に了解した宮城、福島両県は原子力発電施設等立地地域特別交付金の利用が認められ、申請すれば宮城に30億円、福島に25億円が支給されます。

 電源立地地域対策交付金では、電力会社が09年度までに完成した原発での実施を申し入れた場合、加算する制度があります。交付金の一部は発電量に応じ算定され、MOX燃料はウラン燃料の3倍とみなし、割り増しする仕組みもあります。

(「しんぶん赤旗」2016年1月31日より転載)