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深いところでも地震が起こるのはどうして?・・日本周辺のプレート運動と小笠原西方沖の深発地震

15-6-8jisin 小笠原諸島西方沖の海底下、深さ682キロメートルのところで5月30日の夜発生したマグニチュード(M)8・1の地震は、遠く離れた関東地方でけがをしたり、エレベーターに閉じ込めたりする人が多数出る被害をもたらしました。また、北海道から沖繩まで全国で揺れを感じるというまれな現象を引き起こしました。

 地震は、日本列島の南に広がるフィリピン海プレート(岩板)の下に、伊豆・小笠原海溝から沈み込んでいる太平洋プレートの内部で発生しました。プレートの運動に伴う地震の多くは深さ数十キロメートルの浅いところで発生しますが、深さ100キロメートル以深でも地震はたびたび発生しており、「深発地震」と呼ばれています。

 海溝から沈み込んだプレートはマントルの中を進み、深さ700キロメートルぐらいまで達すると、そこで滞留すると考えられています。マントル内を沈み込んでいくプレートには、プレート自身の重さによって引っ張られる力や、先端が滞留することによって押し返されたりする力が加わり、ひずみが生じます。プレートがひずみに耐えられなくなったとき、深発地震が発生します。

 気象庁によると、今回の地震は沈み込んだ太平洋プレートの内部に東西方向へ引っ張る力が働いて発生しました。太平洋プレートは東から西へ沈み込んでいるため、これはプレートの重さによって引っ張られる力で生じたひずみに耐えられなくなって発生した地震であることを示しています。

 今回の地震では、震源に近い小笠原諸島母島で震度5強の揺れを観測しただけでなく、神奈川県の二宮町でも震度5強の揺れを観測しました。気象庁は、深発地震では沈み込むプレートに沿って地震波が伝わりやすいため、遠く離れた場所で揺れが大きくなる「異常震域」という現象によるものだと説明します。

 米地質調査所(USGS)によると、20世紀に全世界の深さ500キロ以深で発生したM7以上の地震は66あり、そのうちの三つは今回と同じ領域で発生しています。これまでで最も大きかったのは、2013年5月24日にオホーツク海の海底下深さ約610キロメートルで発生したM8・3の「オホーツク海深発地震」です。この地震では、アジアの広い範囲だけでなく、ロシアの首都モスクワやアメリカの西海岸でも揺れを感じたといいます。

 規模の大きな地震では、遠く離れたところでも超高層ビルの高層階を大きく揺らす「長周期地震動」の影響が表れやすくなります。今回の地震で、多くの超高層ビルでエレベーターが停止したのはこのためです。

(「しんぶん赤旗」2015年6月8日より転載)

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