原発を廃止し、再生可能エネルギーをどう普及させるか―。横浜市内で3月28日、日本科学者会議の国際シンポジウムが開かれ、国内外の専門家や市民ら約80人が議論しました。シンポは27~29日まで、欧米で活動する「地球的責任のための技術者・科学者の国際的ネットワーク」(INES)との共催です。
事故発生から4年たっても収束しない東京電力福島第1原発の現状や事故の背景について、原子力、放射線防護、地質学の専門家らが報告。地下水工学が専門の本島勲・元電力中央研究所主任研究員は、行き詰まる放射能汚染水対策の問題にふれ、「地下水問題は日本の原発に共通の課題だ」と指摘しました。
避難生活を余儀なくされた福島県浪江町の馬場績(いさお)町議(日本共産党)は、事故以来の住民の苦悩を語り、「原発事故は生きることを否定するに等しい重大な人権侵害だ」と訴えました。
INESのシェフラン・ユルゲン独ハンブルク大学教授が、世界の再生可能エネルギーの現状を報告。ブラジルや米国で進むバイオエタノールの生産、ドイツの市民風力発電、砂漠地帯での太陽熱発電などを紹介しました。
シンポでは、国内の再生可能エネルギーの導入可能性が現在の電力消費量の約7倍にのぼるデータを紹介。「原発はコストが安い」「再生可能エネルギーは不安定」といった主張に、きちんと反論することの重要性が強調されました。
27日には、原発と再生可能エネルギーをとりまく情勢を世界の専門家が報告しました。
(「しんぶん赤旗」2015年3月29日より転載)