東北電力東通(ひがしどおり)原発(青森県東通村)敷地内の断層について、原子力規制委員会の調査チームは12月22日、活断層を否定する東北電の主張には「十分なデータが示されていない」などとして、活断層の存在を否定できないとする再評価書案をまとめました。東北電は追加の耐震工事などを迫られることになります。
同原発敷地内の断層については、昨年2月に専門家チームが、敷地内で南北に走る断層群のうち、原子炉建屋の近くを通る「F―3」「F―9」を「活断層の可能性が高い」とする評価書案を示しました。その後、東北電は追加調査を実施。敷地内で見られる地層のずれは、鉱物が水を吸収して体積が膨張したことによるなどと反論したため、調査チームで議論を続けていました。
今回の評価書案では、「体積膨張による変位では説明が難しい」などと東北電の主張を退けています。
また、評価書案は、原子炉建屋などの重要施設の下を通る2本の断層についても検討。海水を取り込む「取水路」直下を通る「f―1」断層については、活断層の可能性の有無について両論併記し、結論を出しませんでした。建屋直下を通る「f―2」については「活断層ではない」としていますが、専門家から「調査ができていない。慎重であるべきだ」などの意見がありました。
評価書案は今後、正式な評価書が作成され、規制委に報告されます。日本原子力発電敦賀原発の場合は、他の専門家の意見を聞いた上で評価書をまとめています。東北電は6月、同原発1号機について再稼働の前提となる新規制基準への適合性審査を申請。規制委は評価書を「参考」に審査する方針で、活断層の存在を否定できないと判断されれば、審査に影響します。
(「しんぶん赤旗」2014年12月23日より転載)