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川内原発再稼働・・虚構の「地元同意」

 鹿児島県の伊藤祐一郎知事は7日、九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県薩摩川内市)の再稼働への「同意」を、「やむを得ない」と表現しました。しかし、この「地元同意」は、住民の圧倒的多数の声を無視した「虚構」です。


福島の現実無視

 7日の記者会見に得意満面で臨んだ伊藤知事。3日に宮沢洋一経産相が来県し、「事故時に、国が責任をもつことを約束した」と胸を張り、「福島みたいなことが起きても、もう命の問題なんか発生しない」「避難計画が発動されるケースもほとんどないだろう」と述べました。

 しかし、いまも12万5000人の住民が故郷を追われ、放射能汚染水問題など収束すら困難な福島第1原発事故の現実は、原発事故が起きれば、国に責任のとりようなどないことを示しています。政府や知事はこの現実に目をつぶった無責任なものです。

火山対策に疑問

 伊藤知事は「原子力規制委員会により、安全性が確保されることが確認された」といいますが、そもそも規制委は「原発に絶対安全はない」と繰り返しています。

 しかも日本火山学会が2日、原発への火山の影響を評価する規制委の基準を見直すよう提言。「巨大噴火の影響は小さい」などとした九電の火山対策を妥当とした規制委の審査に根本的な疑問が投げかけられています。川内原発は、周辺に桜島など活火山が多く、特にリスクが高いにもかかわらず、専門家の意見に耳を傾けようともしていません。

非現実的な想定

 「原発に100%の安全がないなら、せめて避難計画は100%に」との住民の声は当然です。しかし、伊藤知事は「避難計画はスムーズに進んでいる」と強弁。

 実際の計画は、お年寄りや障害者など、要援護者の移動手段は考慮されず、非現実的な想定によるもので、専門家から「紙の上の計画。合理性はなく、具体性もない」と指摘されているほどです。

 伊藤知事は、避難計画の説明会を25回、新規制基準の審査結果について5回、さらに補足説明会を開いたと強調し、「これらの説明会は、おおむね静粛に行われ、住民の理解の向上に寄与した」といって、事実と異なることを述べました。

 しかし、住民説明会では、担当者が事前に用意した回答を繰り返し、「答えになっていない」との批判の声があがり、多数の質問希望者が「時間切れ」で打ち切られ、「説明を聞いて、ますます不安になった」との声が噴出しました。

周辺を切り捨て

 伊藤知事は、薩摩川内市議会、市長の「同意」を示しました。

 原発事故に備えて避難計画の策定が義務付けられる30キロ圏内の自治体からは不満が続出。いちき串木野市議会、日置市議会が地元に含むよう求める意見書を可決。姶良市議会は再稼働反対と廃炉を求める意見書を可決していました。

 伊藤知事は「(地元の範囲を)一律に拡大すると、極めて原発の理解や知識の薄いところで結論を出すのは、錯綜(さくそう)するだけで賢明でない」と、周辺自治体を乱暴に切り捨てました。

(原田浩一朗、鹿児島県・園山絵理)

(「しんぶん赤旗」2014年11月9日より転載)

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