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9電力に「原発ゼロ」提案・・全株主総会否決も 国民の強い声反映

原発なくせと関電の株主に訴える市民ら=6月26日、神戸市中央区
原発なくせと関電の株主に訴える市民ら=6月26日、神戸市中央区

 原発を持たない沖縄電力を除く全国の電力9社が6月26日、一斉に株主総会を開きました。原発からの撤退なぞ「原発ゼロ」を求める株主提案が東日本大震災後9電力全てに初めて出されました。いずれも反対多数で否決されましたが、「原発ゼロ」を求める国民の声の強さを示しました。

 東京電力の株主総会では、原発に反対する株主が、原発を再稼働しないことを前提に総合特別事業計画(再建計画)を見直すことなど、10件の議案を提出しました。

 東電は取締役会の意見として、安倍晋三政権が4月に閣議決定した「エネルギー基本計画」が原発を「重要なベースロード電源」と位置付けたことを理由に、株主提案に反対を表明しました。

 関西電力の株主総会には、「脱原発」などを求めた25件の提案が出されました。関電はその全てに反対、採決でも否決しました。

 大飯原発(福井県)の運転差し止めを命じた福井地方裁判所の判決について、関電は「主張が理解されず誠に遺憾だ」とし、判決にかかわらず、原子力規制委員会・政府が許可すれば再稼働を進める方針を示しました。

 会場からは、「再稼働して、高レベル放射性廃棄物の処理はどうするのか」などの指摘が相次ぎました。

 九州電力の株主総会では、川内原発(鹿児島県)の廃炉、核燃料サイクルからの撤退など5件の株主提案が出されました。瓜生道明社長は、「一日も早い再稼働を目指して全社を挙げて対応してまいりたい」と述べるなど、原発推進の姿勢を改めて鮮明にしました。

 住民の過半数が署名した鹿児島県いちき串木野市の川内原発揚稼働反対署名について、九電は「内容について詳しく存じ上げない」と回答しました。

 14-06-27teian

原発ゼロ市民迫る・・電力9社株主総会会場内外

 

九州電力総会会場の前で脱原発を訴える市民ら=6月26日、福岡市
九州電力総会会場の前で脱原発を訴える市民ら=6月26日、福岡市

 国内の原発が昨年(2013年)9月15日から「稼働ゼロ」が続いているなか、沖縄電力をのぞく全国の電力9社の株主総会が6月26日、いっせいに開かれ、市民団体などは、会場前などで、「原発なくせ」「再稼働ノー」などと訴えました。

 

「東電」・・発言者のマイク切る

 東京電力の株主総会は、会社側の乱暴な運営が目立ちました。数土文夫(すど・ふみお)会長が、原発からの撤退を求める10本の株主提案について一括上程・一括審議とすることを提案。「提案にはそれぞれ性質が異なる問題が含まれている。個別上程・個別審議とすべきだ」との動議が出されましたが、否決されました。

 質疑では、取締役会が一方的に質問枠を1人2問、3分に設定。原発に固執する経営陣の姿勢を批判していた株主のマイクのスイッチが時間超過を理由に切られ、退場を命じられる場面も。会場からは、「“国富”というなら新潟の豊かな穀倉地帯こそ国富。(新潟県の)柏崎刈羽原発は廃止にすべきだ」(同県の男性)「柏崎刈羽の再稼働に数千億円も使うのではなく、再生可能エネルギーの普及のためにこそに使うべきだ」(山梨県の男性)などの意見が相次ぎました。

 質問者が続くのに数土会長は質疑を1時間半ほどで打ち切り、怒号が響くなか採決を強行。全ての株主提案が否決されました。

九電・・会場前「再稼働ノー」

 川内(せんだい)原発が全国の再稼働の突破口として狙われている九州電力の株主総会が行なわれた福岡市内のホテル前には、川内・玄海両原発の再稼働中止、廃炉を求める市民100人がつめかけました。

 脱原発や経営の透明化を求める株主らでつくる「九電消費者株主の会」の木村京子代表は、川内原発再稼働の動きにふれ、「九州電力に『再稼働ノー』の声を突き付け、株主に再稼働がいかに誤った選択か言いたい」とあいさつしました。

 同会は株主総会で、避難計画策定まで再稼働を見合わせることや、地震や火山活動の危険性が指摘される川内原発の廃炉、核燃料サイクル事業からの撤退など5議案を提出しました。

 支援に駆け付けた鹿児島、佐賀など九州各地の脱原発を訴える団体の代表が活動を報告。参加者らは会場から繁華街に向かってデモ行進し、替え歌やシュプレヒコールで「原発いらない」の声をあげました。生後11カ月の子どもを抱いてデモに参加した清水亜矢さん(34)は「子どもの健康が心配で東京から避難してきた。事故が起きれば水や空気への不安で普通の生活はできない。汚染水問題や被災者の救済が未解決のままで再稼働はおかしい」と話しました。

関電・・「経営陣は無責任だ」

 神戸市中央区で開かれた関西電力の株主総会には、「エネルギー未来を考える市民株主と仲間の会」や「原発をなくし自然エネルギーを推進する兵庫の会」など、近畿各地から市民、労働組合員らがかけつけました。

 会場前で、「関西電力は福井地裁判決に従え」と書いた横断幕などを掲げ、「福島は他人事ではありません」「原発にこだわる経営をやめましょう」などと株主総会に向かう人たちに呼びかけました。

 株主総会に向かう神戸市中央区の翁国之さん(88)は「長いこと株を持っていたが、総会は初めて。最近の状況がどうなっているのか聞きたくて来ました。原発はなくすほうがいい。日本にもエネルギー資源はたくさんある。技術を進歩させて開発させたらいい」と話しました。

 姫路市の本行清さん(73)は「今の経営陣は原発だけやっておればいいという考えで無責任です。これからのエネルギー政策を真剣に考えるべきです」と言い、神戸市中央区の男性は(73)は「原発に関心があります。経済的なことや目先のことだけでなく、先のことを考えないといけない」と話しました。

(「しんぶん赤旗」2014年6月27日より転載)

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