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朗報 自治体独自の再建制度・・被災アパート支援業者「助かります」

 東日本大震災で被災した中小企業の生業(なりわい)の再建は喫緊の課題です。国や県の支援制度の対象にならなかった規模の小さな企業や業種に対し、自治体独自の再建制度がつくられています。民主商工会や日本共産党議員団が中小業者の声をもとに奮闘しています。
(佐藤幸治)


(写真)貸家があった場所に立つ男性の後ろの補修した建物は現在みなし仮設住宅に=5月1日、石巻市
(写真)貸家があった場所に立つ男性の後ろの補修した建物は現在みなし仮設住宅に=5月1日、石巻市

 宮城県気仙沼市で昨年(2013年)11月に創設された、被災した市内の中小企業に向けた補助金は、県などの支援事業では対象になっていないアパートの補修など不動産業も対象となり、補修されたアパートはみなし仮設住宅として活用されています。

3分の2補助

 同市に住む女性(75)は、市内と石巻市で経営するアパートの1階部分に津波の被害を受けました。「気仙沼市内のアパート2部屋を直すのに190万円かかりましたが、127万円(3分の2)の補助がありました。震災前に修理した時の借り入れも残っていたので助かりました」といいます。

 女性が利用した「気仙沼市地域商業施設等復旧整備事業補助金」は、震災で被害を受けた商業施設・設備の復旧費用が150万円を超えた場合、3分の2(上限300万円)を補助するもので、県の支援補助金とも併用できます。

 市の担当者は「国や県の支援事業に該当しない小規模の事業者でも、頑張っている人たちがいるので、そうした市内の業者も支援しようと対象を広くしました」と説明します。

 2月末までの利用件数は128件。そのうち不動産業が56件(アパート経営40件)、小売業や飲食業が41件、写真や理容など商店街の業者が21件などとなっています。

 使い勝手のいい補助制度を市に要望していた気仙沼本吉民主商工会の千葉哲美事務局長は「女性は、アパートの一部をみなし仮設として県に協力していますが、県は補助の対象にしませんでした。市が対象を不動産業まで広げたことはよかった」と話します。

制度拡大願う

 この女性は、信用金庫から借り入れて、石巻市のアパートも補修しています。「石巻市でも補助を受けられたらいいのに」といいます。石巻市は20万円以上の復旧費用が補助されます。しかし、不動産業は対象になっていません。

 石巻市に住む夫(72)と、妻(71)は7戸の貸家を経営していましたが、3戸は津波で流失し、4戸が全壊。柱と外壁が残った4戸は地震保険に加入していたこともあり、なんとか補修し、今はみなし仮設として利用されています。流失した3戸の再建について、妻は、「直した4戸は借金が返し終わってすぐの被災でした。もう借金の苦労はしたくない」といい、夫は、「需要もあり、それなりの補助が受けられるなら再建したいと思っているのですが」と話します。

 石巻民主商工会は、中小企業の再建はこれからで、「それまで補助制度はあるのか」との声も出されていることから、「石巻市中小企業復旧支援事業補助金」を長期に実施することを要望しました。

 また、補助される復旧費用の2分の1以内(上限100万円)を、3分の2に拡充し、県の支援補助金と併用で最大570万円の補助が受けられるようにすることと、不動産業(アパートや貸家)も対象にすることを求めています。

 日本共産党石巻市議団の庄司よしあき、水沢ふじえ両市議と渡辺まさあき党東部地区副委員長は、昨年11月、石巻民商が市に要望する際に同席し、議会で制度の拡充を求めてきました。「市の補助は県の補助の対象にならないところをカバーする制度なので、不動産業も補助すべきです」と話しています。

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