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汚染水 非常事態・・空から見た福島第1原発

高濃度の放射能汚染水が海に流出し続けている東京電力福島第1原発。非常事態に陥っている福島第1原発を、「しんぶん赤旗」は27日、チャーター機で上空から取材しました。

(記事 三浦誠、写真 縣章彦)

東電福島第1原子力発電所。1号機から4号機建屋と汚染水貯蔵タンク群=8月27日(本紙チャーター機から撮影)
東電福島第1原子力発電所。1号機から4号機建屋と汚染水貯蔵タンク群=8月27日(本紙チャーター機から撮影)

灰色と空色の汚染水貯蔵タンクが、まるで蜂の巣のように原発敷地内をうめています。約300トンもの汚染水流出事故を起こしたのは灰色の円筒型組み立て型タンク。事故があったタンク近くの排水路が、外洋につながっている様子が確認できます。海側から1~4号機の原子炉建屋を見ると、津波で流された車両やつぶれた設備がいまだ残っていて雑然としています。

敷地の山側から1~4号機周辺に地下水が1日1000トン流れ込み、うち原子炉建屋地下に400トンが流入。高濃度の放射能汚染水になって日々増え続けています。

東電は海に近い地中を薬剤で固める遮水策をすすめていますが、部分的にしかカバーできていません。地下水が遮水壁を迂回(うかい)して海洋流出する事態も懸念されています。

タンクにたまっているのは、汚染水から放射性セシウムなどを取り除いた後に残る高濃度のストロンチウム90などを含む廃液。容量約1000トンのタンクも2日半で満杯になります。すでにタンクは大小約1000基です。

タンクに保管された汚染水は約30万トン。放射性セシウムなどを取り除いていない汚染水も1~4号機の原子炉建屋地下や配管トンネル(トレンチ)などに10万トン以上あります。

護岸付近では、海に流出する汚染地下水を減らすため、地下水のくみ上げを始めており、これもタンクに保管する計画です。

大量の汚染水が漏れたタンクは、何枚もの鋼鉄の板をボルトで連結するタイプで、過去に4回の漏えい事故がありました。

敷地を埋め尽くすタンク群、増え続ける汚染水…。これを止める見通しが立っていません。放射能汚染が拡大し、より大きな危機が迫るまさに「非常事態」です。

東電福島第1原子力発電所の汚染水貯蔵タンク群=27日(本紙チャーター機から撮影)
東電福島第1原子力発電所の汚染水貯蔵タンク群=27日(本紙チャーター機から撮影)

タンク汚染 反対側も

東京電力福島第1原発のタンクから高濃度汚染水が約300トン漏れた問題で、東電は26日、漏出があったH4区画を調べた結果、最初に水たまりが見つかった地点とは反対の南側で、毎時16ミリシーベルトの高い放射線量を測定したと発表しました。

東電によると、社員3人が同日、H4区画を囲む漏出防止用のせきに設けられた排水用の開閉弁24カ所の空間放射線量を測定。漏れたタンクから約30メートル南側にある弁の近くで、高い放射線量が確認されました。水たまりはできていませんでしたが、開いたままの弁から汚染水が漏れた可能性があります。

東電は「汚染が拡大している可能性が高い」とみて、周辺の土壌を回収する予定ですが、時期や範囲などは決まっていません。

最初に汚染水の水たまりが見つかったタンク北東の地面では、同100ミリシーベルト超が測定されています。

13-08-28zuタンク1基で汚染水移送完了・・福島第1

東京電力福島第1原発のタンクから高濃度汚染水が漏れた問題で、東電は8月27日、漏出したタンクと同様、タンク設置後に地盤沈下が発覚したため解体し、再利用したタンク2基のうち1基の汚染水移送を完了したと発表しました。タンクの再利用と汚染水漏えいの関係は不明ですが、漏えいリスクを低減するため、汚染水を移送したといいます。残る1基は28日ごろに移送を始めます。

東電は、漏出したタンクも含め計3基を2011年6月、別の場所にいったん設置。水漏れがないか試験していたところ、基礎部のコンクリートが約20センチ沈下したため、解体し移設していました。

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