日本原燃が青森県六ケ所村に建設中の使用済み核燃料の再処理工場の竣工(しゅんこう)予定は「今年度中」。しかし、原燃は最近になって、これまでは竣工前に行うとしていた過去の試験運転で出た高レベル放射性廃液のガラス固化を竣工後におこなう方針を表明しました。危険な廃液を大量に残したまま、名ばかりの「竣工」の達成を目指そうとしています。
トラブルで延期も
政府は、原発の運転で出る使用済み核燃料を全て再処理し、ウランとプルトニウムを回収して再利用する「核燃料サイクル」を進めています。再処理工場は、政府が固執する核燃料サイクル政策の中核施設です。
六ケ所再処理工場は1993年着工。当初の竣工予定は97年でしたが、27回も延期が繰り返されました。延期の原因の一つが、高レベル放射性廃液のガラス固化工程でのトラブルです。
再処理では、使用済み核燃料を被覆管ごとせん断し、硝酸で燃料部分を溶かし、プルトニウムやウランなどを抽出します。残った核分裂生成物などを含む高レベル放射性廃液は、液体のままでは漏えいなどの危険があることから、ガラスと混ぜてガラス固化体(高レベル放射性廃棄物=核のごみ)にします。
原燃は、2006年から再処理工場で実際の使用済み核燃料を使った試験を実施。ガラス固化工程で、溶融炉のかくはん棒が変形して引き抜けなくなるなどのトラブルが続発し、何度も中断しました。このため再処理工場には227立方メートル(25年3月末現在)の廃液が固化されないまま保管されています。試験中に固化された廃液の量は125立方メートルでした。
原燃は以前、竣工前の検査(使用前事業者検査)で高レベル放射性廃液の固化を行う計画を示していました。最近になって使用前の検査では模擬廃液を使い、高レベル放射性廃液の固化は竣工後に行うと方針を原子力規制委員会に説明しました。模擬廃液と実際の廃液では、流動性などが異なります。
原燃は、保管している高レベル放射性廃液について「できる限り処理」した上で操業開始にあたる新たな使用済み核燃料のせん断を行うと規制委に説明。規制委側からは「高レベル廃液をいかに減らした状態に持って行けるかも大きな作業」と指摘されています。しかし、どれだけ減らすのか、本紙の問い合わせに原燃は「現時点で決まったものはない」と話しています。
規制委の審査はいまも継続中です。放射性物質に汚染され人が近づけなくなったうえに、過去の検査記録が存在しない設備もあるなどの問題もあり、竣工時期は見通せていません。
高コストなど抱え
再処理工場が操業すると大量のプルトニウムが発生します。原爆の原料にもなるため、日本は「利用目的のないプルトニウムは持たない」と内外に説明してきましたが、すでに日本は国内外に約44・4トン(24年末時点)も保有しています。
政府は、プルトニウムを消費するために原発でMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料を使うプルサーマルを進めていますが、プルサーマルを実施している原発は現在4基。プルトニウムの年間消費量の目安は約2・1トンです。さらにプルサーマルを行うと、使用済みウラン燃料以上に放射能が高く長期冷却が必要な使用済みMOX燃料が発生します。
「核燃料サイクル」は、安全性や環境汚染、高コストなどの問題を抱え、「核のごみ」問題を先延ばししながらより深刻にしています。
矛盾をこれ以上広げないためには、原発からの迅速な撤退が求められます。
(おわり)
(「しんぶん赤旗」2026年5月16日より転載)