
日本共産党の岩渕友議員は18日の参院予算委員会で、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から14年経過した今も多くの人が避難を強いられているもとで、政府の第7次エネルギー基本計画に「原子力の最大限活用」が書き込まれたことについて、「原発回帰は許されない。原発の安全性の確保は誰も保証できない」として政府の姿勢を批判しました。
岩渕氏は「原発事故は終わっていない。なぜ最大限活用なのか」と追及。武藤容治経産相は事故の「反省と教訓」といいつつ原発の最大限活用を強調。岩渕氏は日本世論調査会の調査で原発を今後「段階的に減らして将来はゼロにする」との回答が58%で、そのうち68%が「福島第1原発事故のような事態を再び招くおそれがあるから」と答えていると指摘し、「これが現実のものとならないといえるのか」と迫りました。
武藤経産相は「不断の安全性の向上に取り組む」と答弁。原子力規制委員会の審査に合格したら安全といえるのかとの岩渕氏の追及に、原子力規制委の山中伸介委員長は「100%の安全を保証するものではない」と答えました。岩渕氏はエネルギー基本計画で「安全性の確保」というが、「誰も責任を持たないということだ」と強調しました。
さらに、再稼働が計画されている北海道電力の泊原発について、同原発は隆起した約40メートルの崖を切り崩し、その土を使って海を埋め立てた上に建設されており、半分以上が埋め立て地だと指摘。国内でこれだけの広さの埋め立て地に建設された原発は他にないと強調しました。さらに、「埋め立て地の中に耐震重要施設の一つである原発冷却の海水を取り入れる取水口、取水路がある。心配なのは液状化だ」とただしました。
山中委員長は「耐震性が確保できる設計方針を確認している」と答弁。岩渕氏は「方針を確認するだけで審査に事実上合格となり、具体的な評価結果の確認は設計方針の審査後だ」と指摘しました。また、能登半島地震で最大4メートルの隆起が発生したことを挙げ、北電は地盤隆起の可能性を試算しているが、隆起対策はどうかをただしました。
山中委員長は「取水の可能性を検討し、取水訓練を実施した」と答弁。岩渕氏は取水訓練について「北電の報告を見ると、事故に対応する車両の走行には支障がないといったありえない前提で訓練が行われている。これでは大規模な隆起にとても対応できない」と批判し、原発の安全性は到底確保できないとして「原子力の最大限活用はやめるべきだ」と迫りました。
(「しんぶん赤旗」2025年3月19日より転載)