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主張 日本原電東海第2/ずさん工事の原発は廃炉に

 防潮堤の基礎工事で施工不良が発覚した東海第2原発(茨城県東海村)について、再稼働を目指す日本原子力発電は、部分的な補修・補強で済ませようとしています。ずさんな工事のやり直しもしない事業者には、原発を運転する資格はありません。

 施工不良は、昨年9月、工事関係者から日本共産党への勇気ある告発によって明らかとなりました。日本共産党茨城県委員会は、地方議員、国会議員とともに、事態を明らかにするよう原電に迫り、原電も翌10月に告発内容を認めました。

■施工不良を隠ぺい

 問題となっているのは、取水口部分の防潮堤の基礎となる鉄筋コンクリート製の柱の工事です。原電は、鉄筋の深さが設計値まで届かなかったのを昨年3月に、コンクリートの未充填(じゅうてん)と鉄筋の変形などを同6月に確認しており、工事も中断していました。

 ところが、東海村など立地・周辺6市村長が同7月に現地視察した際には、工事は順調に進んでいるかのように説明し事態を隠していました。半年間も事態を隠ぺいしてきたのは重大です。原電は「今後、適切に対応してまいります」とするだけで、隠してきたことにはまったく無反省です。

 原子力規制庁も、現場の検査官がほぼリアルタイムで事態を把握しながら、「原子力安全の第一義的な責任は事業者にある」として原電任せにしてきました。原電も規制庁も、住民の安全に対する責任の重さを自覚するべきです。

 問題の柱は、15・5メートル四方の角柱で、深さ約60メートルの岩盤に固定します。まず四角い外枠を掘って鉄筋コンクリート製の壁を造り(地中連続壁工法)、その後に内側を掘って、外枠と一体化するよう鉄筋コンクリートの柱を造ります。

 内側を掘った際に、外枠部分の四辺の各所にコンクリートの未充填や鉄筋が露出した部分が見つかりました。視認できない部分でも、音響探査などで多数の未充填が確認されました。別の場所でも施工不良があるとの指摘も出ています。

■防潮堤は要の工事

 これだけの施工不良は異常です。原電は、掘削機など重機が地中連続壁のうえで何度も作業したことなどが原因だとしますが、施工手順から当然想定されたことです。施工を請け負った企業の責任、まともな施工管理ができなかった原電の責任をあいまいにすることは許されません。

 原子力規制委員会は、この問題を今年3月から新規制基準適合性審査会合で審議しており、施工不良部を撤去して造り直すことも含めて検討するよう求めました。原電は、視認できる場所の補修や内側の鉄筋の補強などを行うとしています。しかし、規制委側からは「実現性の見通しは全く立っていない」との認識も示されています。

 防潮堤は、「安全性向上対策工事の要」(日本原電広報誌)とされています。津波に耐えられなければ一大事です。原電は、2026年12月までに工事を完了させるとしていますが、まともな施工管理ができないのでは、防潮堤の性能も保証できません。

 原電は、東海第2原発の再稼働を断念し、廃炉を決断すべきです。

(「しんぶん赤旗」2024年9月15日より転載)