日本共産党茨城県委員会(上野高志委員長)は16日、県庁で会見を開き、停止中の日本原子力発電東海第2原発(東海村)の再稼働に向けた事故対策工事である防潮堤の基礎部分について施工不良の疑いがあると明らかにしました。原電は同日、同原発の「近況について」とする文書を公表し、事実を認め、「今後、適切に対応する」としました。
会見には江尻加那県議、大名美恵子東海村議、花島進那珂市議、川澄敬子茨城町議、高橋誠一郎衆院茨城1区候補が同席しました。
会見で江尻氏は、共産党と本紙に寄せられた同原発構内で作業していた工事関係者の証言として、▽取水口部分の防潮堤の基礎となる「地中連続壁」でコンクリートが正しく打設されていない▽基礎の鉄筋が正しい形状で組まれていない▽基礎が岩盤に到達していない▽基礎をつくる上での「安定液」の比重が正しく保たれていなかった―などの問題を指摘。「これまで工事が順調であるかのように説明していたが現実は違う。住民や自治体に対しても不誠実と言わざるを得ない」と指摘し、原電に説明を求めました。
党県委は先月22日、告発を受け、原電に質問書を提出。事実について、回答とともに工事の中止を求めていました。
原電は前出の文書で6月に、「コンクリートの未充填(じゅうてん)及び鉄筋の変形等が確認された」と報告。共産党が指摘した施工不良の事実を認めました。同日、共産党への「回答」で同区間の工事について「中断している」と報告しました。
原電は共産党の会見の直後、「工事の過程で“くぼみ”が見えたため原因を調査している段階で、今回の事象は想定していた」と説明しました。
同原発は現在、来年9月の再稼働をめざして防潮堤などの工事を継続。工期を2回延期しています。前出の工事関係者は現在の工期ありきの工事の進め方を懸念しています。
(「しんぶん赤旗」2023年10月17日より転載)