東京電力福島第1原発の放射能汚染水問題は、ますます深刻な事態になっています。原発への態度の違いをこえて危機打開に英知と総力を結集すべきときです。日本共産党は、その立場から、「緊急提言」を行いました。臨時国会の衆参の代表質問で打開のための提案を行い、衆院の予算委員会でさらに安倍晋三首相を追及しました。
「東電まかせ」改めてこそ
安倍首相は、汚染水危機打開の具体策を示すことができません。それどころか、「コントロールされている」「完全にブロックされている」と、事実と異なる態度に固執し、あまつさえ、汚染水の影響を「風評」だとして、問題を小さくみせようとしています。
首相は根拠も対策も示さず「海への安易な放出は行わない」とのべ、“放射能で海を汚さないでほしい”という福島県民の切実な願いにまともに答えていません。
安倍政権の「東電まかせ」の姿勢は、汚染水問題でも改まっていません。国会での日本共産党の追及で、政府が「前面に出る」と決めた9月3日以来、安倍首相が本部長である原子力災害対策本部すら開かれていないという無責任さも明らかになりました。
こうした安倍政権の姿勢のもとで、東電は、その場しのぎできわめて安易な対応を繰り返しています。この間の台風などによる大雨に際して、東電は自ら定めた「暫定基準値」による手順も放棄して、汚染水を直接排出することを繰り返しています。規制委員会も、東電が再稼働をすすめようとしている柏崎刈羽原発から「職員を福島第1原発の対応に充てるべきではないか」と指摘しています。
「国が前面に出て」と口にしながら「東電まかせ」を続ける安倍政権の態度に、大きな怒りと批判が急速に広がっています。福島県浪(なみ)江(え)町議会は「福島をあまりにも軽視する政府、東電に憤りを禁じ得ないと同時に、安倍首相の無責任な発言に強く抗議するものである」との意見書を可決しました。汚染水問題での意見書は福島県内の13自治体に広がっています。
これらは、「オール福島」の当然の願いであり、安倍首相は「コントロール」発言を撤回すべきです。そして、国が全責任をもって汚染水対策をはじめ、福島原発の事故収束に全力をあげるべきです。
こうしたなか、国の責任で放射能汚染水問題の解決にあたることや福島原発の廃炉などを求め、11月2日、福島市内で「なくせ! 原発ふくしま大集会」が開かれます。
集会は、県女性団体連絡協議会元会長やJA女性部協議会会長など、立場の違いをこえてよびかけられたもので、県内の自治体首長などの賛同が広がっています。当日は、浪江町や楢葉(ならは)町、飯舘(いいたて)村など、被災者が交流するテントや集会がもたれます。
「ふくしま大集会」成功を
安倍首相は、「福島の事故を乗り越えて、世界最高水準の安全性で、世界に貢献していく責務がある」などといって、原発の再稼働や輸出に奔走し、今週には国会開会中にもかかわらず、トルコへの原発「セールス」にわざわざ出かけるありさまです。
再稼働・輸出の準備などやめ、汚染水対策に全力をあげよ―。福島と全国の連帯した力で、「11・2ふくしま大集会」を大きく成功させようではありませんか。