テロ対策など核物質防護上の不備が相次ぎ、運転を事実上禁止する命令が出されている東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)に関して原子力規制委員会は9月14日、運転禁止命令解除の議論開始に向けた要件を示しました。
同原発では、他人のIDカードを用いた中央制御室への入室や侵入検知設備の故障が長期間放置されるなど、テロ対策の不備が相次いで明らかになりました。このため、昨年4月には規制委が運転を事実上禁止する命令を発出。東電は同9月に規制委に改善措置計画を提出し、規制委が対策の実施状況や効果を確認する追加検査を進めてきました。規制委は今年4月、追加検査の中間報告を発表しています。
14日に了承された要件では▽出入管理システムや既設の立ち入り制限区域の対策が完了するなどの改善効果▽核物質防護にかかわる自律的改善の取り組みが東電社内や協力会社に浸透し、発電所全体で意識や行動に改善傾向が認められる▽職員を定期的にモニタリングし、意識や行動で劣化兆候を把握した場合に、迅速な対応が行われる仕組みが構築されている―を確認するとしました。
規制委の更田豊志委員長は14日の定例記者会見で、「年度内か、年度をまたぐくらいに東電から報告が来ると期待する」と述べました。
その上で「報告から1、2カ月間の準備期間を経て、規制委として命令解除についての議論ができるのではないか」との見通しを示しました。
(「しんぶん赤旗」2022年9月15日より転載)