電気事業連合会(電事連)と日本原燃、日本原子力研究開発機構は3月2日、核兵器の原料にもなるプルトニウムの利用計画を内閣府原子力委員会に説明しました。電事連のプルトニウム計画は約10年ぶりの改定で東京電力福島第1原発事故後初めて。プルトニウムを消費するプルサーマル(通常の原発でプルトニウムを使う)を実施する各電力会社の原発を明記していますが、日本全体の3割近いプルトニウムを持つ東電は「いずれかの原子炉で実施」と、具体的な原発を明記しておらず、計画の困難さを浮き彫りにしています。
この日の説明で、電事連は東電について「現時点でプルサーマルの具体的な計画を見通せる状況にない」として個別候補の記載はしていないと説明。しかし、プルサーマルを推進していくことに変わりないといいます。
2020年度末に電力各社が保有するプルトニウムは計41・7トン。福島第1原発事故後、日本でプルサーマルを実施したのは、伊方原発3号機、高浜原発3、4号機、玄海原発3号機の4基です。電気事業連合会は昨年12月、プルサーマルの実施を30年度までに少なくとも12基とし、これまでの16~18基から下方修正した計画を発表しています。12基でのプルサーマルについて原子力委員会の委員から実現性を問われると、電事連の担当者は「業界をあげて再稼働に全力を挙げる」などと答えました。
また日本原燃六ケ所再処理工場(青森県)は、23年度に0・6トンのプルトニウムを回収し、25年度にMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料に加工という計画を示しています。六ケ所再処理工場はこれまで25回竣工(しゅんこう)時期を延長しており、実現は不透明です。
(「しんぶん赤旗」2021年3月3日より転載)