秋平 いきなり、どうしたんだい。
晴男 託送料金って知ってるかい?
秋平 聞いたことないな。
晴男 送電、配電のための電線使用料のことだ。発電料、営業費、利潤などと一緒に、電気料金に含まれていて、3割から4割をしめている。
秋平 で、ひどい話というのは?
晴男 託送料金に、東電の福島第1原発事故の賠償費用と原発の廃炉費用を上乗せするというんだ。
東電が負担せよ
秋平 えーっ。賠償金や廃炉費用は、加害責任がある東電が負担すべきだろう。なんで上乗せなんかできるの?
晴男 2017年9月に省令を改正して、20年4月以降、託送料金にこの二つの費用を含ませていいことになった。省令改正は国会審議の必要がないからね。これを受けて大手電力と一体の送配電会社が国に認可申請して、認可されたんだ。
秋平 申請は、東電だけじゃないんだね。
晴男 そう。7月にいっせいに各地域の送配電会社が申請したんだ。全国の消費者が新たな上乗せを負担することになっている。
秋平 原発事故処理費用は22兆円という報道もあったな。
晴男 35兆~80兆円という試算もある。今回託送料金に上乗せする賠償負担金は2・4兆円だ。「原発事故以前に確保すべきだった賠償の備えの不足分」というのが政府の説明だ。
秋平 なんだかよくわからない理屈だな。この上乗せ方式でやられたら、消費者の負担は際限なくなるじゃないか。
晴男 そうなんだ。それで10月15日、福岡の新電力会社が福岡地裁に認可取消訴訟を起こしたんだ。電気事業法には、賠償金や廃炉費用の支払い義務規定はなく、認可は法律と憲法に違反するという理由なんだよ。
秋平 こんな重要なことを国会抜きで、省令改正だけで決めるなんてひどいよ。
「見直しを」の声
晴男 多くの環境団体や消費者団体から、託送料金の上乗せは見直すべきだという声があがっている。脱原発、再生可能エネルギー優先の政策にすみやかに切り替えるべきだよ。
(「しんぶん赤旗」2020年12月9日より転載)