東京電力福島第1原発で増え続ける放射能汚染水をめぐって、処理装置でも除去できない高濃度のトリチウム(3重水素)を含む汚染水の処理方法などについて東電は3月24日、放出手順や風評被害対策の素案を公表しました。
国の小委員会は先月、処分方法として海洋放出と大気放出を「現実的な選択肢」とした報告書をまとめています。東電の素案は「一度に大量に放出せず、(廃炉作業が行われる)30~40年の期間を有効に活用」するとし、今後20~30年かけて放出する可能性もあるとしています。
また海洋放出の場合は、国の濃度の基準の40分の1(1リットル当たり1500ベクレル)に薄めることを参考にするといいます。
素案は大気放出と海洋放出のそれぞれの場合で空気や海水で薄めて放出する手順を説明。年間放出量は、国内外の原子力施設が出している量を参考にするといいます。
また、高濃度の放射能汚染水からトリチウム以外の放射性物質62種類を国の放出基準未満まで低減できるとうたった多核種除去設備(ALPS)で処理後の「ALPS処理水」の7割以上で基準を超えています。このため東電はさらに放射性物質を取り除くため、ALPSなどによる「二次処理」を2020年内に試験的に行うとしました。
風評被害対策では、「被害が発生する場合は、適切に賠償対応する」などとしています。
(「しんぶん赤旗」2020年3月25日より転載)