来日中のローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇は11月25日、東京都内で、東日本大震災・福島第1原発事故被災者との集いを行いました。教皇はスピーチで被災者への継続的な支援と援助の必要性を訴え。「将来のエネルギー源に関して勇気ある重大な決断をすることです」と述べ、日本の司教たちが求める原発の廃止を支持しました。
スピーチで、教皇は沈黙の時間を取り、1万8千人にのぼる死者・行方不明者、遺族のために祈りました。
「生活再建を果たすには、最低限必要なものがあり、そのために、地域コミュニティーの支援と援助を受ける必要がある」と語りました。
「特別に思い起こしたい」とした原発事故について、「福島の事故の完全な解決が意味するのは、わたしの兄弟である日本の司教たちがいみじくも指摘した、原子力の継続的な使用に対する懸念であり、司教たちは原子力発電所の廃止を求めました」とのべ、「わたしたちには未来の世代に対して大きな責任があることに気づかなければなりません」と訴えました。
「被災者たちは、未来のための新たな道を見つける必要をわたしたちに思い出させてくれました。一人ひとりと自然界とを大切にする心に基づく道です」と指摘しました。
集いでは、岩手県でカトリック幼稚園の園長をしている加藤敏子さん、福島県南相馬市の同慶寺の住職の田中徳雲(とくうん)さん、同じく福島県の被災者、鴨下全生(まつき)さん(17)が証言。教皇は3人にメダルを渡しました。
この日、教皇は東京都内で青年との集いに参加し、東京ドームでミサをおこない、天皇や安倍晋三首相と会談しました。
(「しんぶん赤旗」2019年11月26日より転載)