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関電 金品受領隠ぺいの影で…役員向け新報酬制度

関西電力の会長辞任が決まり、頭を下げる八木誠氏(左から2人目)、岩根茂樹社長(同3人目)=9日午後、大阪市福島区

株主怒り“解明任せられぬ”

 原発マネー還流疑惑で、福井県高浜町の元助役からの金品提供を今年9月まで隠ぺいしていた関西電力。そのさなかの昨年、取締役ら向けの新たな報酬制度を創設していました。今年6月時点で11人が対象で、退任時に株式と現金を給付します。関係者は「不都合な事実を伏せながら幹部の報酬を増やしたことに問題はないのか」と批判します。

 森山栄治・元助役から859万円相当の商品券などを受け取っていた八木誠前会長(9日付で辞任)と、1億1057万円相当の金品を受け取っていた豊松秀己・元副社長(今年6月退任)も、この制度の対象者だったことを関電は認めました。「受領の有無や額は現段階で開示できない。八木氏への給付については第三者委員会の報告後に判断する」としています。

 この制度は取締役と執行役員が対象の「株式報酬」。従来の「基本報酬」、「業績連動報酬」に加えて導入されました。

 昨年6月の株主総会資料によると、この制度で同社は2018年度から3年間に最大で4億8千万円を出資。信託先の銀行が同社株を購入します。

 取締役らの役職に応じてポイント(1ポイントは1株相当)を積み立て、取締役らが退任する際、一部は株式で、残りは換金して給付するといいます。

 年間に積み立てる上限は計19万ポイント。18年度には対象者11人に計2300万円相当が割り当てられました。

 同制度の導入を同社取締役会が議決したのは昨年4月。同6月の株主総会で承認されました。

 一方、この年1月には金沢国税局が森山元助役と関係の深い「吉田開発」への税務調査を始めたとされます。翌2月には八木氏や岩根茂樹社長ら幹部6人が、元助役から過去に受け取った金品のうち1億5908万円相当分を返しました。

 不適切な金品提供が問題化する可能性を経営トップが知りながら、新たな報酬制度の承認を株主に求めていたことになります。

 これについて同社は「金品提供は取締役会に報告されておらず、取締役会としての認識になっていなかった」と釈明します。ただ、金品を受け取っていた八木氏、岩根氏らは当時も取締役会メンバーでした。

 八木氏らが取締役会に金品提供を告げなかったことについて同社は「詳細は第三者委員会が調べる」としています。

 同社は新たな報酬制度の目的について「業績向上へと企業価値増大への貢献意識を高めるため。報酬の上乗せが目的ではない」と説明します。

 これに対し大阪市に住む同社株主の藤永延代さん(79)は「公になれば株価が下がるような情報を隠しながら、何事もなかったように株主に承認を求めていたのは許せない。事実解明を関電任せにせず、国など外部の調査に委ねるべきでは」と話します。

(「しんぶん赤旗」2019年10月11日より転載)