東京電力福島第1原発事故で福島県から愛媛県に避難した住民が東電と国に対して約1億4000万円の損害賠償を求めた「愛媛訴訟」の判決が3月26日、松山地裁(久保井恵子裁判長)であります。全国で約30ある同様の集団訴訟の一審判決では10件目になります。
原告は10世帯25人(うち提訴時の避難指示区域外避難者は21人)。原発事故で住み慣れた生活環境・コミュニティーでの平穏生活権を侵害されたとして、1人当たり550万円の損害賠償を求めています。
主な争点は、国と東電が事故を予見し事故を防ぐことができたか、コミュニティーなどを喪失した精神的損害がどこまで認められるか―などです。
訴状によると、原告は、2002年の国の地震予測「長期評価」公表段階か、遅くとも06年段階で国と東電は福島第1原発の敷地高を超える巨大津波を予見できたし、実施すべき津波対策を怠った東電に対し、国が規制権限を行使しなかったのは違法だと主張しています。
これまで9件の一審判決で、国を被告とする7件の集団訴訟のうち5件が国の責任を認めています。
(「しんぶん赤旗」2019年3月25日より転載)