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政府の原発推進策・・行き詰まり認めゼロに向かえ

 安倍晋三政権が固執する原発推進政策の破綻が鮮明になるなかで新年を迎えました。昨年末には、日立製作所による英国での原発建設計画の延期・凍結が濃厚になるなど、「インフラ輸出戦略」の目玉としてすすめてきた「原発輸出」が総崩れです。国内での再稼働路線はいたるところで矛盾に直面しています。原発にしがみつく安倍政権を国民世論でさらに追い詰め、「原発ゼロ」の日本に向けた転機になる年にしていきましょう。

「安定」電源ではない

 原発推進の行き詰まりを象徴しているのは、日本経済団体連合会(経団連)の中西宏明会長(日立製作所会長)による年頭の報道各社とのインタビューです。「全員が反対するものをエネルギー業者やベンダー(提供企業)が無理やりつくるということは、この民主国家ではない」とのべ、原発存続にとって国民的議論が必要との認識を示しました。この発言は原発推進が国民との間で深刻な矛盾を広げていることの反映といえます。

 つまずいているのは「原発輸出」だけではありません。昨年は県民の世論に押され、東京電力福島第2原発などの廃炉が決まりました。東電福島第1原発事故に反省もないまま推し進める再稼働も、思惑通りにはいきません。

 原子力規制委員会は、一昨年に東京電力の柏崎刈羽6、7号機(新潟県)、昨年は日本原電の東海第2原発(茨城県東海村)の再稼働に「合格」の判断を出しました。しかし、地元自治体から強い懸念と反対の声が根強く、再稼働への同意をとれる見通しはありません。

 規制委は昨年末、再稼働を認めた関西電力の高浜、大飯、美浜の3原発について、約8万年前の大山(だいせん・鳥取県)の噴火によって火山灰が降った量が、関電の調査よりも数倍多かった可能性があるとして再評価するよう指示しました。自然災害の影響を過小評価してはならない現実を浮き彫りにしています。地震・火山国で、原発を運転することの危険性は明らかです。

 原発が「安定供給」の電源などという口実も成り立ちません。

 昨年9月の北海道地震による全道停電を検証した国の認可法人・電力広域的運営推進機関の委員会は、現在停止中の北海道電力泊原発(泊村)の全3基が仮に再稼働し、災害によって一斉に停止すると、「ブラックアウト(全域停電)に至る可能性が高い」という指摘を盛り込んだ報告書を出しました。大規模集中発電の最たるものである原発に頼ることの危うさを改めて示すものです。

 核燃料サイクルも八方ふさがりで、再稼働をすれば増える「核のゴミ」はたまるばかりです。

 昨年に閣議決定した、2030年時点の電源構成に占める原発の割合を20~22%にするというエネルギー基本計画は撤回こそ必要です。原発依存から抜け出し、世界で急速に進む再生可能エネルギーの拡大に踏み出すべきです。

原発なくせの声を高く

 原発固執勢力を追いこんでいるのは、国民世論と首都圏反原発連合の官邸前行動をはじめ、各地で取り組まれている行動です。この力をさらに広げ、野党共同で国会に提出した「原発ゼロ基本法案」を必ず実現しましょう。市民と野党の共同の力で原発ゼロと再生エネの飛躍的な普及への転換を勝ち取ろうではありませんか。

(「しんぶん赤旗」2019年1月9日より転載)