原子力規制委員会は、日本原子力発電(原電)東海第2原発(茨城県東海村)の運転期間を2038年まで延長することを認めました(11月7日)。原電は、21年3月までに約1800億円かけた東海第2原発の対策工事を終了する計画で、今後は再稼働をめぐって地元の同意手続きが争点になります。11月30日告示(9日投票)された茨城県議会選挙では、東海第2原発の再稼働を許すのかという問題が一大争点となります。
原電は再稼働の計画については明らかにしていません。ただ再稼働に必要な規制委の審査はほとんど終了し、残る審査や検査に期限はありません。
鹿児島では
東京電力福島第1原発事故後にできた新規制基準に最初に「合格」した九州電力川内原発。14年11月に当時の伊藤祐一郎鹿児島県知事が「やむを得ない」などとして同意を表明し、再稼働しています。
当時、川内原発の再稼働に反対する圧倒的な鹿児島県内の世論を背景に、「廃炉を求める」(姶良市)、「再稼働の反対を求める」(屋久島町)、「再稼働に慎重な対応を求める」(出水市、垂水市)など県内の市町議会で再稼働に批判的な意見書が可決されていました。
しかし、同県議会では自民党、公明党など再稼働推進勢力が、県民の声を無視して知事の同意表明に先立ち「再稼働に賛成する陳情」を採択。虚構の世論で知事の同意への先導役を演じたのです。
これまで再稼働された原発の立地自治体では、「川内方式」を踏襲し、議会が再稼働に同意する決議や意見書の可決などを強行。首長が同意を表明することで「地元同意」を演出しています。
原電が放言
他方、東海第2原発では、稼働についての事前了解を県と立地する東海村に加え周辺5市にも拡大した安全協定を全国で初めて結びました。ところが原電の和智信隆副社長は11月7日、報道陣に「拒否権なんて言葉は新協定の中のどこにもない」と言い放ちました。6市村に再稼働を拒否する権限はないといわんばかりです。
これに対し、6市村で構成する「原子力所在地域首長懇談会」の会合後、座長の山田修・東海村長が会見。一つの自治体でも了解できなければ再稼働できないとの認識を確認し、原電側に伝えたことを明らかにしました。
さらに茨城県内では、県内の4分の3をこえる市町村議会で再稼働に反対する決議や意見書を採択。安全協定に基づく事前了解権を持つ那珂市長を含む11人の首長が反対を表明しています。
今回の茨城県議選は、東海第2原発の再稼働に反対する県民の意思を示せば、再稼働を阻止する大きな力となります。
(「しんぶん赤旗」2018年12月2日より転載)