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「うちにも届かず」訴え続々・・再生エネ買取改定 国の計画書提出要求

ソーラーパネルを設置している人

 再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の改定に伴い、経済産業省が旧制度の下で認定を受けた人(みなし認定事業者)に対し、改めて発電事業計画書を9月30日までに提出するよう求めている問題で、一部の人から提出を求める通知が届いていないと困惑の声が上がっています。「こちら社会部。」(8月3日付)で報じたところ、「うちにも通知がない」など読者からの問い合わせが数多く寄せられました。同省への取材で、10キロワット未満の発電をしている人には、はがきによる通知が行われていなかったことが新たに分かりました。  (岡本あゆ)

 事業計画とは、電力会社との連携や発電設備の維持管理などについて記載するもので、提出を求められるのは、2012年7月以降にFIT制度の認定を受けた人です。(図)

 通知から除外

 本紙報道後、読者からは▽通知が届いていない▽支援を受けたいが設置業者がすでに廃業している▽設置業者から代行手続き料を請求された▽経産省にかけても話し中でつながらず困っている―などの声が寄せられました。

 家庭などで10キロワット未満の発電をしている人も提出の対象です。しかし経産省は、はがきによる通知からこの層を除外していました。

 取材に対し経産省の担当者は「事業計画書提出を求める目的は二つあり、一つは認定を受けても電力会社と接続契約を結んでいない大口の発電所に対して契約を促すこと。もう一つは、新しいFITのもとで法令の順守がなされているか確かめること」だと回答。「10キロワット未満の発電も二番目の目的に該当しており、区別なく対象とした」と話しました。

 矛盾する説明

 通知を送付しなかった理由について、同省は「10キロワット未満の発電の多くが家庭で行われており、すでに電力会社と契約を結んでいるところがほとんどのため、送付しなかった」と回答。「提出の目的に該当しており、対象に含まれていながらなぜか」との質問には、「先ほどの説明を重ねるしかない」と繰り返すにとどまりました。

 また読者が“つながらない”という、同省のホームページなどが紹介している計画書提出の問い合わせ先は、「外部に委託している。常に10人以上で対応していると聞いている」といいます。

 9月30日を提出期限としたことは「新FITの施行から6ヵ月以内という行政判断」としながらも、「可能なかぎり早く提出してほしいが、同日を過ぎても受けつける」と述べました。

  経産省は周知不足

 NPO法人市民電力連絡会の都甲(とこう)公子事務局長は、「経産省の対応は不十分で周知不足だ。そもそも10キロワット未満の発電に計画書を提出させること自体、適切だったのか」と疑問視。

  「新FIT制度の下で適切な法令順守をすすめる目的なら、啓発や支援を行うべきで、認定の取り直しには意味がない」と指摘し、「再生可能エネルギーを推進する気があるのか疑問がわく。FITはそのための制度だということを経産省側はよく考えてほしい」と話しました。

(「しんぶん赤旗」2017年9月22日より転載)