東京電力福島第1原発事故による帰還困難区域のなかに「特定復興再生拠点区域」を定め、5年後をめどに帰還できるようにする福島復興再生特別措置法改定案が4月4日、衆院本会議で審議入りしました。日本共産党の高橋千鶴子議員が質問に立ち、特措法の理念に立った福島支援こそ必要だと求めました。
同改定案は、東電が全額負担するとしていた福島事故の除染費用のルールを壊し、帰還困難区域の除染に国費を投入するもの。高橋氏は「汚染者負担の原則に反する」と批判するとともに、「周りは手つかずのまま、わずかな拠点地域のみ除染・整備されて、いったいどれだけの住民が戻れるのか」と強調。元の居住エリア全域の除染を明確にするよう迫りました。
今村雅弘復興相はまともな理由も示さず「汚染者負担原則に反しているとはいえない」と答弁しました。
高橋氏は、「住民一人一人が災害を乗り越えて豊かな人生を送ることができるようにする」という特措法の基本理念が国の避難者切り捨て政策でないがしろにされている実態を告発。福島事故に対する国の責任を断じた3月の前橋地裁判決が「避難指示が解除されたからといって帰還しないことが不合理とはいえない」としていることにも触れ、「自主避難者への住宅支援の打ち切りが帰還の強制になってはならない。被害の続く限り賠償を継続すべきだ」と迫りました。
(「しんぶん赤旗」2017年4月5日より転載)