福島原発事故・・国と東電に責任と判決でたね
のぼる 東京電力福島第1原発事故で、福島県から群馬県に避難した住民ら137人が国と東電に損害賠償を求めた訴訟の判決があったね。
みどり 前橋地裁ね。国も東電も敷地を優に超える津波が来ることを予見できたし、対策すれば事故は防げたと判断されたわね。全国で約30件ある同様の訴訟に影響を与えそうよ。
のぼる 国会事故調が「人災」と指摘したけど、改めて示されたね。
″予見はできた″
みどり 争点の一つは、国と東電は津波を予見し、事故を回避できたか。二つ目に、事故対策を東電に指示する規制権限か国にあったか。三つ目に、国の原子力損害賠償紛争審査会の「中間指針」に基づく賠償基準が妥当かどうかだったのよ。
のぼる 予見性では、どんな判決内容?
みどり 国の地震調査研究推進本部が2002年に発表した「長期評価」を、「考慮しなければならない合理的なもの」と認定しているのよ。
のぼる 「長期評価?」
みどり 三陸沖北部から房総沖の日本海溝寄りのどこでもマグニチュード8クラスの巨大地震発生の可能性があり、確率は30年以内に20%程度だと推定していたの。
のぼる へえ。
みどり 判決は、この発表から数ヵ月後に巨大津波の到来を予見できたと。しかも対策する義務があったのに「経済合理性を安全に優先させた」と東電を非難している。
のぼる 国の方は?
みどり 国の権限で東電に対策を命令すべきだったのに、しなかったのは「違法」と断定しているの。賠償額も東電と「同額」としているわ。
慰謝料額に疑問
のぼる 地裁前で原告側弁護士が「一部勝訴」という幕を掲げていたね。
みどり 判決は、「平穏生活権」の侵害で精神的苦痛を受けた程度を個別に検討し慰謝料の額を決め、支払い済みの賠償金との差額を算出しだの。少額すぎるため棄却された原告もいるわ。
のぼる 約15億円の賠償を求めていたけど、原告のうち62人に3855万円だったそうだね。
みどり 弁護団は、被害者の精神的苦痛が「適切に評価された金額と言えるかについては、大いに疑問」といっているわ。
のぼる 国と東電が十分な賠償をすべきだよ。
〔(2017・3・26(土)〕
(「しんぶん」赤旗2017年3月25日より転載)
原発事故賠償判決一部に誤り・・訂正/前橋地裁
東京電力福島第1原一発事故により避難した住民らが起こした集団・訴訟で国と東電に賠償を命じた判決について、前橋地裁は23日までに、国が東電に津波対策を取るよう規制権限を行使すべきだった時期を「遅くとも2007年8月ごろ」から「遅くとも08年3月ごろ」に訂正しました。決定は22日付。
(「しんぶん」赤旗2017年3月25日より転載)