【マラケシュ(モロッコ)=島崎桂】当地で11月7日、国連気候変動枠組み条約第22回締約国会議(COP22)の開幕式が開かれました。議長を務めるモロッコのメズアール外相は、4日に発効した「パリ協定」の目標達成に向け、「脱炭素化」の動きを加速するよう要求。今会議を「行動のCOP」とするよう呼びかけました。
昨年のCOP21で合意したパリ協定は、産業革命前からの気温上昇を1・5~2度未満に抑え、今世紀後半に二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガス排出を「実質ゼロ」にするよう求めています。
今回の会議では、途上国への資金援助や技術移転、各国の温室効果ガス削減状況の評価基準など、協定内容の実施に関わる詳細なルール策定に着手。2018年には、各国の温室効果ガス削減目標の引き上げを促す「促進的対話」の開催も決まっており、各国が削減目標を大幅に引き上げる環境づくりも課題となります。
メズアール氏は開幕式の中、温暖化対策で「かつてない野心」を示し「過去2世紀にわたる炭素に特化した開発の流れを変える」よう要求。条約事務局のエスピノサ事務局長も、各国政府や市民、自治体、企業、投資家など社会全体が「低排出社会への移行」に踏み出すよう求めました。
開幕式の参加者は、クリーンエネルギーを象徴する太陽光発電のペンライトをかざし、温暖化対策への思いを一つにしました。
パリ協定は、7日時点で100カ国・地域が批准しています。政府の失態で批准が遅れた日本は、15日に予定されているパリ協定第1回締約国会議(CMA1)では議決権を持たないオブザーバー参加となりました。
また、「脱炭素化」とは相いれない石炭火力発電の推進姿勢も崩しておらず、環境NGOからは厳しい視線が注がれています。
地球環境市民会議(CASA)の早川光俊専務理事は、環境分野で「尊敬されない」日本政府の姿勢は「非常に残念だ」と指摘しました。
(「しんぶん赤旗」2016年11月9日より転載)