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偽装再建 東電新事業計画①・・再稼働ありきの危うさ

14-02-12saiken 東京電力の実質国有化から1年半。安倍晋三政権は(2014年)1月、東電の経営再建に向けた「新総合特別事業計画」を了承しました。福島原子力発電所事故の教訓を置き去りにしたまま、東電の破たんを取り繕い金融機関の利益を最優先しようとしています。
(佐久間亮)

政府はこれまで、福島原発事故によって実質破たんした東電に多額の税金をつき込み“国有化”することで東電の延命を図ってきました。東電の事業計画は、2016年から段階的に“脱国有化”を進め、30年代前半に「自立的運営体制」へ移行を完了させるとしています。

ばら色描いて

東電はそのために、ばら色の経営改善計画を描いています。20年代前半に、年間1兆円の電気料金引き下げ資金と1千億円の利益確保を達成。30年代前半にはさらに3千億円の引き下げ資金と3千億円の利益確保を目指すとしています。

大前提の一つが新潟県柏崎刈羽原発の再稼働です。東電は1号機と5~7号機を7月以降、2~4号機を来年以降、順次再稼働していく方針です。

柏崎刈羽原発では現在、原子力規制委員会が敷地内や敷地周辺の活断層調査に向け動いています。

新潟県の「原子力発電所の安全管理に関する技術委員会」の委員を務める立石雅昭・新潟大学名誉教授(地質学)は、「規制委の指摘に基づく東電の調査は最短でも2、3ヵ月かかる。適合審査はその報告が出た後だ。これだけでも7月の再稼働は無理だ」と断言します。

仮に規制委の審査に合格したとしても、立地自治体の同意を得なければ再稼働はできません。新潟県の「技術委員会」での福島事故の検証作業は「まとまる見通しが立たない状態」(立石氏)。泉田裕彦知事も「検証と総括が先」との立場を崩していません。

めど立たない

東電は、再稼働できなかった場合、代わりの火力発電の燃料代として1基あたり月10
0億~140億円(6、7号機は120億~180億円)かかると試算しています。14年度は最大5760億円の追加費用です。東電が見込んでいる14年度の営業利益2500億円を消し飛ばし、事業計画そのものを揺るがします。

立石氏は、柏崎刈羽原発ではこれまで、敷地内の断層と周辺の活断層が過小評価されてきたと指摘。同時に、耐震設計の前提となる基準地震動が、福島事故を起こした「東北地方太平洋沖地震」の経験を踏まえたものになっていない問題があるとし、「福島の教訓を生かすというなら、基準地震動の見直しが不可欠だ」といいます。

7月どころか再稼働のめどが全く立っていないのが実情です。立石氏は、「東電が安全性より経営を優先して再稼働に前のめりになる背景には、金融機関や株主の存在がある」と語ります。

東電の事業計画には、与党内からも批判の声が上がります。

原発再稼働に批判的な自民党のある国会議員は、「企業が破たんしたときに株主や銀行に責任をとらせないというのは、資本主義社会ではあり得ない」と強調します。

企業を破たん処理する場合、損失を負担する順番は、株主→債権者→社債権者です。ところが、東電の事業計画では、株主や債権者は全く損失を負担しません。それどころか16年度中に社債市場に復帰し、20年代初頭には株主配当の復活まで目指しています。

代わりに用意されているのは際限のない国民負担です。
(つづく)
(4回連載の予定です)

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