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「原発さえなければ」福島原発避難者訴訟・・4原告が陳述

裁判所まで行進してアピールする原告団・弁護団=6月15日、いわき市
裁判所まで行進してアピールする原告団・弁護団=6月15日、いわき市

 福島原発事故当時、双葉町、楢葉町、広野町、南相馬市、川俣町(山木屋地区)などに居住していた住民が避難生活を強いられていることで東京電力に損害賠償を求めた避難者訴訟の第17回口頭弁論が6月15日、福島地裁いわき支部(島村典男裁判長)で行われました。

 原告本人に対する尋問があり、4人が陳述しました。

 浪江町請戸で暮らしていた菅野美智子さんは、家族同然の愛犬3匹を置き去りにしなければならなかった悲しみを証言。「原発さえなかったら生活全般が奪われることはなく、地震と津波だけならば愛犬を探し助けることはできた」と涙で陳述しました。

 楢葉町の岩間尊弥さんは、町のスポーツ推進委員をしてきて人と人とのつながりを広げてきました。「人と人のつながりが復活して伝統文化が復活してこそ古里です。(裁判長は)楢葉のことをしっかりと見つめてください」と訴えました。

 富岡町で老舗の麹(こうじ)店を継ぎ、手作りのみそを販売してきた渡邉克巳さん。「和食の基本はみそ。有機リサイクルプロジェクトを町で立ち上げて展望が開けていたときに原発事故にあいました。人生をかけた麹店。自殺を決心したこともあった」と陳述しました。

 稲川ひろみさんは広野町で薬局を営んできました。「人の命を救うことに役立つことがやりがいでした。患者さんは認知症が進み、うつになっている人もいます。医者と薬局が町にあることでこれ以上亡くなる人がいないようにすることが、私ができることです」と、薬剤師としての誇りと使命を切々と涙で陳述しました。

(「しんぶん赤旗」2016年6月16日より転載)