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「自共対決」の現場から 原発依存の町変える・・党議席回復に挑む河本たけしさん/福井・美浜町

美浜原発を背に街頭から訴える河本たけし候補(左)=2月16日、福井県美浜町
美浜原発を背に街頭から訴える河本たけし候補(左)=2月16日、福井県美浜町

原発が集中し「原発銀座」といわれる福井県。若狭地方で、関西電力の原発事業の拠点となっているのが美浜町です。3月に行われる町議選(定数14、4日告示、9日投票)で、日本共産党から河本たけし候補(36)が党議席の空白克服をめざします。原発を「重要な電源」と位置付けて再稼働に突き進もうとする安倍自民党政権に対して、「即時原発ゼロ」「美浜原発の廃炉」を掲げて、立地自治体から自共対決に挑みます。

(田代正則)
「原発依存の行政を転換して、国にものをいえる町にならないと、住民の安全は守れません」。河本さんは毎日、関電美浜原発の間近の集落から、山の中の集落まで、すみずみを回って訴えます。

訴えに住民共感

部屋ぎっしりの人が集まった河本たけし候補の事務所開き=2月15日、福井県美浜町久々子
部屋ぎっしりの人が集まった河本たけし候補の事務所開き=2月15日、福井県美浜町久々子

演説を聞いていた高齢の女性は、「よう立ってくれた。ええ兄ちゃんやわ。美浜も弱ってしまった。元気にして」と手を握りました。

日本共産党の訴えは、住民に共感を広げています。

2月15日、河本さんの事務所開きには、だるまストーブを囲んで部屋にぎっしりの60人が集まりました。

河本さんが立候補を決意して初めて対話した女性も参加。「美浜原発の事故で亡くなった人たちの話も聞いてきました。農林水産業を復活させて、安心して暮らせる美浜にしてほしい」と話します。

隣の敦賀市から美浜町に引っ越した昨年、「原発の町で、受け入れてもらえるか」と心配もありました。しかし、街頭宣伝をしていると、軽トラックで駆けつけて「あんたの顔を見たかったんや」という人や、「党派は関係ない。町民の声をとりあげてくれる人が必要なんだ」という人たちから、あたたかい激励を受けました。

「自然エネに」65%

河本さんが集めている住民アンケートの中間集計では、「エネルギー政策を原発から自然エネルギーへ切り替えるべき」とした人が65%にのぼっています。

自由記入欄には、原発依存町政への不満があふれています。

「原発依存から抜けきれていない」(30代女性)、「国に対してものがいえる町政にしてほしい」(70代男性)、「関電と仲よしこよしの町政にはうんざり。自然を生かした町づくりを」(40代男性)、「町外に出る若者にとって、帰ってきたくなる魅力ある美浜をつくってほしい。『日本一危険なところによく住んでいるね』と言われ、さびしい」(60代男性)

表立って「原発反対」と言えない苦悩もつづってありました。「陰ながら応援しています。息子が関電に勤めているので、ひかえさせてください」(70代男性)、「この町に住んでいて、原発反対を声に出すのは、こわい」(60代女性)

原発以外の雇用そして安全こそ 声に出せない住民の思いを

福井県内の原発立地自治体で唯一、日本共産党議員が空白となっているのが、美浜町です。すべての議員が原発賛成派です。

「安全神話」で県外避難せず

自治体がつくる原発事故を想定した「住民避難計画」をみても、他の自治体が避難先を県外としているのに対し、美浜町は県内にとどまる計画となっています。「安全神話」に寄りかかった原発依存の行政は深刻です。他の議員は何も語りません。

2003年に党議席が空白となり、04年8月に美浜原発の劣化した配管が破裂し、死者5人、重軽傷6人を出す事故が起きました。このとき、共産党議員はいませんでした。05年、関電は原子力事業本部を大阪の本店から美浜町に移しました。

佐藤正雄党県議は、「原発問題の申し入れは、美浜に行くのですが、地元に党議席がないことに、歯がゆい思いをしていました」と話します。

立候補を決意した河本さんは、長崎県香焼町(現長崎市)の生まれです。被爆者の話を身近に聞いて、放射能被害の恐ろしさを感じて育ちました。

10年前に美浜町の隣、敦賀市に移り住みました。福井県で「原子力は安全」だと宣伝されていることに驚きました。福島第1原発事故の起こる前年の10年には、美浜原発PRセンターにある配管の展示を見に行ったこともありました。

労働法制改悪政権への怒り

敦賀市のパナソニック若狭工場で働いていました。雇用の実態はパナソニックから指揮命令を受ける派遣労働者なのに、請負契約のように見せかける「偽装請負」でした。

パナソニックが「派遣切り」を強行しようとしたとき、日本共産党や労働組合に出合い、違法を告発して福井労働局の是正指導を勝ち取りました。会社は09年1月、一度は直接雇用への切り替えを提案しましたが、約束を破り、河本さんを解雇しました。現在も最高裁で係争中です。

かつてパナソニックで一緒に働いていた同僚のなかには、「派遣切り」のあと仕事が見つからず、原発の下請けで働き、ピンはねされた人もいました。

「パナソニックの派遣切りさえなければ、同僚もまともに生活できていたはずだ」と河本さん。派遣労働者を無制限に使えるようにする派遣法改悪の方針など、雇用を不安定にする安倍政権の労働法制改悪にも怒りがわきます。

原発関連しか仕事がないため、若者がどんどん出ていく町を変え、原発以外の仕事と雇用を生み出し、住民の福祉を守ろうと訴えます。

日本共産党の河本たけし候補は、表立って声を出せない住民の思いを集め、原発支配に正面から風穴をあけようとしています。

関西電力美浜原発 日本の電力会社が初めて開設した原発。原子炉は3基あり、現在すべて停止中。1号機の運転開始は1970年11月、2号機は同72年7月で、40年以上経過しています。3号機も運転開始の76年12月から37年を超えます。73年に核燃料棒破損事故。91年に伝熱管破断による原子炉自動停止、放射性物質漏れ事故。2003年に伝熱管に穴が開く事故が起き、04年に配管破裂で死傷者を出すなど、数かずの事故が発生しています。

【連絡先=0770(22)3786=党嶺南地区委員会】

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