福島第1原発事故周辺地域の浪江町、双葉町、楢葉町などに居住していて、避難を余儀なくされた被害者たちが原告となって東京電力に損害賠償を求めた避難者訴訟(早川篤雄原告団長)の第15回口頭弁論が2月17日、福島地方裁判所いわき支部(杉浦正樹裁判長)で開かれました。
楢葉町から避難している宗像政俊さん(73)、遠藤良司さん(72)、浪江町から避難している豊口澄子さん(79)の原告3人が証言しました。
宗像さんは「楢葉町は避難指示が解除になったが放射線量は高い。本気で除染してほしい。もとの古里に戻してほしい」と陳述しました。
遠藤さんは左官業を50年聞営んできましたが原発事故の影響で続けることができなくなりました。妻は難病で、避難生活によって病状を悪化させました。「現地をよく見て公正な判断をしてほしい。東電は原発を無くすとはっきりと言ってほしい」と迫りました。
豊口さんは民生委員を務めるなど町の人から信頼を受けてきました。福島市内の仮設住宅でも避難者の悩みなどに耳を傾けています。
「やることがなく、居場所をなくした人が増えています。安全神話を信じてきた結果、足元からすくわれました。仮設の集会所で『ふるさと』を歌うとみんなが号泣する。最近はこの歌を歌わないことにしている」と、望郷の思いを心にしまい生き抜いている心情を訴えました。
(「しんぶん赤旗」2016年2月18日より転載)