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「苦しみに寄り添って」・・いわき市民訴訟原告が陳述/福島地裁支部

「いわき市民訴訟」でデモ行進する原告団の人たち=1月13日、福島県いわき市(原告団提供)
「いわき市民訴訟」でデモ行進する原告団の人たち=1月13日、福島県いわき市(原告団提供)

 東京電力福島第1原発事故被害で、国と東電に損害賠償を求めた「元の生活を返せ・原発被害いわき市民訴訟」の第15回口頭弁論が1月13日、福島地方裁判所いわき支部で開かれました。

 裁判に先立ち、八幡神社社務所で決起集会が開かれました。伊東達也原告団長が、「原発事故からまるまる5年を迎える今年、福島県は戦後最小の人口になった。被害は増大している。なんとしても、この裁判に勝利しよう」とあいさつ。

 法廷では、原告の関耕作=グアン・コウサク=さん(60)が、日本語がよく話せない妻の関暉=グアン・フイ=さん(54)の分も含めて陳述。

 2003年に国際結婚しましたが、11年3月の原発事故当時、暉さんは、87歳の要介護5の母と88歳の要支援の父を介護していました。津波で自宅1階が浸水・全損し、消防隊に助けられ高校に避難。寝たきりの母の介護、体調を崩した父を抱え、暉さんはパニックに。父や母をおいて避難することもできませんでした。

 この間、日本語が十分に理解できない暉さんにとって、放射能が迫ってきているという恐怖、十分な情報が得られない不安、介護しなければならないという葛藤・・・。

 耕作さんは「ほとんど情報が入ってこない恐怖の中で避難生活をするストレスは日本人の恐怖と比べ格段に大きいと思う」と切々と訴えました。最後に暉さんも裁判長に「私たちの苦しみに寄り添って裁判を進めてほしい」と訴えました。

 代理人の菊間龍一弁護士が、2002年に公表された「長期評価」について、昨年7月千葉地方裁判所で証人として証言した島崎邦彦氏(地震調査推進本部で長期評価を取りまとめ)の証言を引用しながら、福島第1原発における津波対策の必要性を示す重要な知見であり、敷地浸水程度の津波の発生は予測できたと陳述をおこないました。

(佐藤三男通信員)

(「しんぶん赤旗」2016年1月14日より転載)