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もんじゅ廃炉求め提訴 東京地裁・・12府県106人が規制委に & 弁護団声明

(写真)東京地裁に向かう原告団と弁護団ら=12月25日、東京都千代田区
(写真)東京地裁に向かう原告団と弁護団ら=12月25日、東京都千代田区

 日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の原子炉設置許可の取り消しを求め、福井県の住民などが12月25日、原子力規制委員会を相手取り東京地裁に提訴しました。原告団は福井のほか、もんじゅから半径250キロメートル圏内の兵庫、愛知、鳥取、岐阜、京都、大阪など12府県の住民106人です。

 訴えのなかで原告らは、「機構にはもんじゅを運転する技術的能力はない」と指摘。その上で「新たにもんじゅの運営を引き受ける能力を有する主体が出現する可能性は現実的には認められない」として、規制委に「設置許可を取り消すべき義務がある」と廃炉を求めています。

 規制委は11月、もんじゅを運営する機構が「必要な資質を有していない」と判断し、新たな運営主体を示すよう文科相に勧告していました。

 会見で原告の一人で明通寺住職の中嶌哲演さん(73)=福井県小浜市=は、「破滅の道をたどるのか、生きとし生けるものが平和に共存共栄する道を選ぶのか迫られている」と述べ、廃炉を訴えました。

 弁護団の共同代表・河合弘之弁護士は、「規制委が勧告の趣旨を簡単に翻すことがないよう厳しく監視し、速やかに廃炉措置へ移行するよう導いていかなくてはならない」と述べました。

(「しんぶん赤旗」2015年12月26日より転載)


新・もんじゅ訴訟提訴について

 高速増殖炉もんじゅについて、原子力規制委員会は平成27年11月13日、文部科学 大臣に対し、「半年を目途として、現在の日本原子力研究開発機構から運営主体に切り替え よ。それが不可能ならば安全上のリスクを明確に減少させるよう抜本的に見直せ。」という 勧告を行いました。勧告文書の中では、ナトリウム漏洩事故や9000以上の機器の点検 漏れなど過去の事実が踏まえられた上で、「機構という組織自体がもんじゅに係る保安上の 措置を適正かつ確実に行う能力を有していない」「早急に適切な措置が必要」等の認定がな されました。田中俊一原子力規制委員会委員長は同日の記者会見において、「看板の掛け替 えは許さない」という厳しい態度で今後の対応に当たることを明言しました。
 今回の規制委員会の勧告に対し、遅きに失したと批判することも出来るかもしれません。 しかし「事業者の虜」だった旧組織時代のことを思えば、格段に安全性を考慮したもので あることは誰も否定できないと思います。今回の規制委員会の勧告については、国民の生 命、身体等の保護及び環境の保全という本来の任務に沿うものとして評価し、原子力規制 委員会の委員長・委員並びに原子力規制庁の担当職員の方々に対して敬意を表したいと思 います。
 一部では、この勧告を受けてもんじゅはもう廃炉にするしかないとも予想されているようです。しかし、私共はそのように安心しておりません。
 「原子力ムラ」の従来からの強かさからすると「替わりの受け皿組織を作り、トップは 入れ替えるものの実際的な運営者は機構のまま」といった「ズル」をすることや、「適当に 対策を講じただけで、『リスクは明確に減少させ、抜本的に見直した』と喧伝する」といっ た「強弁」をすると考えます。
このような「ズル」や「強弁」を許さず、将来にわたって放射能の恐怖に怯える必要の ない社会を実現するためには、今きちんともんじゅに引導を渡す必要があります。そのた めには、「『ズル』や『強弁』は許さない」という強い姿勢を社会に向けて発信して原子力 規制委員会を支え、かつ勧告の趣旨を簡単に翻すことのないよう規制委員会を厳しく監視 し、速やかに廃炉措置へ移行するよう導いていかなくてはなりません。
 今般、新たにもんじゅ訴訟を提起することが、そのために有効かつ必要な手段だと考えるに至りました。
 また、旧もんじゅ訴訟における平成17年5月30日の最高裁判決は、法律審としての枠を大きく踏み越えて過度に行政寄りの判断をした、司法史に残る汚点です。裁判所に対しては、福島第一原発事故の経験を踏まえ、この汚名を雪ぐ適正妥当な裁判を行うことを強く期待しております。

  平成27年12月25日

新・もんじゅ訴訟弁護団
弁護士 海 渡雄 一
弁護士 河 合弘 之
弁護士 甫 守一 樹 他

【資料】

訴状(記者会見配布資料)

提訴の概要(同)