日本共産党嶺南地区委員会 > しんぶん赤旗 > “福島に生きる”首相に思い伝わらない・・伊達・二井屋公園を守る会 小野和子さん(72)

“福島に生きる”首相に思い伝わらない・・伊達・二井屋公園を守る会 小野和子さん(72)

種を取るポピーに目印を付ける小野さん
種を取るポピーに目印を付ける小野さん

 福島県伊達(だて)市の二井屋(にいや)公園を守る会の小野和子さん(72)と同市伏黒の有志は、70アールの公園に数十万本のポピーとアヤメを育てています。「5月から6月中ごろまで見ごろを迎え、今年は、記帳した人だけでも約1600人が訪れてくれました」

 信達(旧信夫郡と伊達郡)一の桜の名所だった二井屋公園の桜並木は、戦中から戦後間もないころの燃料不足を補うために伐採されて「まきにされた」と言います。戦後、所有者は畑として使用していたものの、高齢となって耕作することができなくなりました。かつての桜の名所は荒地となったままでした。

 この土地を借りた小野さんたちが、「人が寄ってくるような花畑があったならばいいなぁ」とボランティアで花を植え始めたのは2003年のこと。当初、桜の苗木20本とコスモスを植えました。

 「コスモスの種をまく時期を間違えて5月にまきました。伊達市では7月ごろがまきどきでした。早くまきすぎ、育ちすぎて花後の処理に苦労しました」。アヤメの株とポピーの種が入手できたことから、「コスモスは3年でやめてポピーとアヤメに変更しました」。

 肥料など花畑を維持管理するには年間10万円はかかります。行政からの援助もなく、見学者のカンパだけで運営しています。

 ボランティアの有志の平均年齢は74〜75歳。「若い人がボランティアで引き継いでくれるとよいのですが」と小野さんは言います。「10年がすぎて桜も咲くようになりました。『きれいだなぁ』とアヤメとポピーの名所として喜んでもらえる公園になってきて満足です」

 小野さんは、夫と45アールのモモ畑と、約20アールの野菜畑でキャベツ、白菜、ブロッコリーなどを栽培して直売所で販売しています。

 原発事故が起きる前までは産直個人客にモモ約350箱分販売していました。ところが、原発事故後は150箱に減りました。個人客が福島産モモから離れました。「残りは農協に出荷しています。収入は3分の1以下に減った」と原発事故の被害を話します。「損害賠償の請求はしていません。難しすぎてやっていない」

 「被害はそれだけでない」という小野さん。「心の被害が大きいです。放射能はあるのか、ないのか不安です。私たちは原発や放射能についての知識がありませんでした。原発事故が起きた後も情報はこない。私たち福島県民はモルモットになっているような気がします」

 安倍首相が原発再稼働や輸出を公言していることに反対です。「福島の思いを知るならばそんなことは絶対にできないと思います。安倍さんは福島に何度か来ているのに私たち県民の思いは伝わっていない。人も花も放射能はいらないからです」

(菅野尚夫)

(「しんぶん赤旗」2014年6月21日より転載)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です