東京電力は8日、福島第1原発の建屋の地下に投入した、放射性物質を吸着させるために使った土のうなどを回収する作業が当初の計画より1年程度遅れる見通しだと明らかにしました。
土のうが残るのは、構内の「高温焼却炉建屋」と「プロセス主建屋」の地下。事故当初、原子炉建屋などで大量に発生する高濃度の放射能汚染水の移送先としてタンク代わりに使用されることになり、その際、主として放射性セシウムを吸着する性質があるゼオライトや、活性炭を入れた土のうが投入されました。
建屋にはゼオライト土のうが約26トン、活性炭土のうが約15・5トン残っています。過去の調査で表面線量は最大毎時4・4シーベルトと、1時間30分ほど浴びると人の致死量に達するほど極めて高いことが確認されています。
回収作業は、ロボットを使って、水中でゼオライトを吸引し集積場所へ移送する段階と、地上階に移送し金属製の容器に封入する段階に分けて行います。
3月から高温焼却炉建屋で第1段階の集積作業を開始。落下した照明器具や破損したロッカーなどが確認され、それらを移動する作業をしています。
8日に開かれた原子力規制委員会の検討会で東電は、こうした知見を反映するとして、今年度内としていた集積作業の完了時期を2026年度までかかる見通しだとしました。また、容器封入作業も当初「26~27年度で完了」としていましたが、事故前からある大型機器の撤去期間が長期化するとして、1年程度遅れるとしました。
(「しんぶん赤旗」2025年9月10日より転載)