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原発融資 世銀は解禁しないで/国際NGO

 世界銀行とアジア開発銀行(ADB)がこれまで実施しないとしていた原発への融資や支援を解禁する動きに対して、世界の25カ国・地域の64団体が、原発へのいかなる支援もしないよう求める国際署名を今月から実施しています。署名を呼びかけている日本のNGOが8日、共同記者会見をオンラインで行いました。

 会見は、国際環境NGO「FoE Japan」、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、原子力資料情報室、原子力市民委員会、グリーン・アクション、350・org、原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)の共催です。

 世銀とADBは、各国政府が出資する国際的な金融機関で、経済開発・貧困削減・インフラ整備を支援します。これまで両機関は、核拡散、安全性、放射性廃棄物、極めて高いコストなどへの懸念から原発に対する融資を行ってきませんでした。しかし、6月に世銀の理事会は、原発への融資の解禁を決定。ADBもエネルギー政策の見直しの一環として原発への支援禁止の削除を検討しています。

 署名では、これまで両機関が原発に対して慎重な姿勢をみせていた理由はいまだに解決されていないと指摘。さらに途上国での原発建設の支援は、「その国の現世代および将来世代に深刻な長期的危険とばく大な経済的負担を課す」と訴えています。

 会見では、ひだんれんの大河原さき事務局長が「私たち被害者が強いられた理不尽な苦悩を、アジア同胞に押し付けることに世銀とADBは加担しないでほしい」と訴えました。

 原子力市民委員会の村上正子事務局長は、世銀やADBの環境社会政策が、市民側から働きかけるなかで徐々に改善されていったと指摘。今回の転換が「市民との間でできていたプロセスを軽んずるのみならず、政策の具体的根拠も示さないで大転換しようとしている」と指摘しました。

(「しんぶん赤旗」2025年9月10日より転載)