きょうの潮流

 金を出すから原発を再稼働させてくれといわんばかり―。新潟県にある東京電力柏崎刈羽原発をめぐる、先日の新潟県議会でのことです。再稼働に向けて東電と政府の露骨な姿勢が表れました▼参考人として東電の小早川智明社長はじめ、政府から資源エネルギー庁の長官、原子力防災を担当する内閣府の審議官らが出席しました。東電社長は、再稼働で火力の経費削減が継続的に見込まれたら、地元の地域振興の活性化に10年程度で1000億円規模の資金を拠出すると▼エネ庁長官は、事業費が1000億円を超えるとされる原発からの避難道路を地方の負担なく整備すると明言。内閣府も、事故時の屋内退避のための体育館の気密化などの整備について5年間で100億円を国と東電で負担すると説明しました▼東電は再稼働後に、1年半程度かけて1、2号炉の廃炉への検討に入るとも。これらの表明はすべて自民党議員とのやりとりの中で明らかにされました。「出来レース」だとの声が上がったのは当然です▼再稼働を急ぎたい政府、東電ですが、新潟県が9月に実施した再稼働に関する意識調査の中間報告では、再稼働の条件は整っていないと回答したのは6割。さらに東電が柏崎刈羽原発を運転することが、心配だとする回答は約7割にも▼福島第1原発事故から14年以上たっても東電への不信が根強い証しです。事故後もトラブルなどを繰り返しており、原発を動かす資格があるのか問われています。お金で安全は売り渡せません。

(「しんぶん赤旗」2025年10月27日より転載)