避難計画「机上の空論」
「避難道路の過半が寸断した。原発が重大事故だったら逃げようにも逃げられない」―。日本共産党の笠井亮議員は7日の衆院予算委員会で、能登半島地震の震源に近い北陸電力志賀原発(石川県)の避難計画が「絵に描いた餅」「机上の空論」だったとし、同原発の廃炉を求めるとともに、原発ゼロの決断を迫りました。
同地震では、志賀原発の30キロ圏の通行止めは16路線30カ所に及びました。笠井氏は、能登半島北東部の住民は30キロ圏に入ることができないため、地震・津波から避難するルートもなくなると指摘。同原発から5キロ圏の住民は、避難先に指定されている同半島北東部にも避難するよう求められていますが、避難先の珠洲、輪島両市と能登町では、道路の寸断により8日間も孤立した集落があった事実を突きつけました。
笠井氏は「どこが被災し、避難ルートが使えるかわからないのに避難先が指定されている。そのルートがだめなら、どうやって避難するのか」と追及しました。
伊藤信太郎原子力防災担当相は「陸路避難が制限される場合、海路、空路、必要に応じて屋内避難をする」と答弁。
笠井氏は「津波がきたら海上避難は不可能だ。今回、港の8割が損壊した。能登空港に自衛隊が降り立つことができたのは10日後だ。およそ避難は無理だ」と指摘しました。
岸田首相はまともに答えられず、「今回の地震の被害状況を検証して、避難経路、避難手段などを検討する」などと述べるにとどめました。
さらに笠井氏は「屋内避難というが、家屋の倒壊、停電や断水もあり、食料も調達できない」と指摘。伊藤担当相は「地震に対する避難行動を最優先する」などとし、原発事故に対応できないことを認めました。
笠井氏は「はっきりしたのは志賀原発で重大事故が起これば、避難などできないことだ」と強調。「地震・津波国の日本で原発再稼働は極めて危険だと現実が示した。原発ゼロこそ決断すべきだ」と迫りました。
(「しんぶん赤旗」2024年2月8日より転載)