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水密化で“浸水防げた”・・福島原発群馬訴訟 国申請の専門家証言

東京高裁

 東京電力福島第1原発事故に伴い、福島県から群馬県に避難した住民が東電と国に損害賠償を求めた群馬訴訟の控訴審の第4回口頭弁論が12月13日、東京高裁(足立哲裁判長)であり、国側が申請した今村文彦・東北大学教授(津波工学)が証言しました。

 福島第1原発の建屋などの水密化対策をすれば、浸水を防げ、非常用電源の機能喪失を回避する可能性が高まったといえるかと問われた今村氏は「可能性が高まったとはいえる」と述べました。

 一方、2002年7月に国の機関が公表した地震予測「長期評価」について、「違和感があった」「検討が必要だった」と繰り返し発言しました。「長期評価」は、三陸沖北部から福島県沖を含む房総沖の海溝寄りのどこでも、マグニチュード8級の津波地震が今後発生する可能性があると予測しています。

 また今村氏は、事故前の津波のハード対策として、「水密化の発想があったが、設計上の根拠がなかった」などと発言。東京地裁で行われている旧経営陣の刑事裁判での証言で、東電が「長期評価」に基づき福島第1原発に最大15・7メートルの津波が襲来するとの計算結果を08年に「知っていた」と証言しています。

 一審の前橋地裁は昨年3月、「長期評価」公表後から数カ月の時点で津波の予見可能性を認めた上で、国と東電に計3855万円の支払いを命じました。全国で約30ある同様の集団訴訟で初の判決でした。原告と被告双方が控訴し、控訴審に加わっている原告は37世帯、91人。控訴審における請求総額は3億9245万円です。

 次回の口頭弁論は来年3月7日です。

(「しんぶん赤旗」2018年12月14日より転載)