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COP24inポーランド 「1.5度報告書」に衝撃・・議論が一変 首脳ら言及 特別イベントも & “生産大国”で脱石炭の動き・・ポーランド 再エネ支持9割 地元住民ら行動

COP24inポーランド 「1.5度報告書」に衝撃・・議論が一変 首脳ら言及 特別イベントも

 【カトウィツェ(ポーランド南部)=伊藤寿庸】地球の平均気温が1・5度上昇と2度上昇の場合で、影響はどれだけ違うのかについて、「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)が10月に発表した特別報告書(「1・5度報告書」)は、今回の気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)で「1・5度」がキーワードになるほど議論を一変させています。

 3日の首脳級会合でも多くの首脳が「1・5度」に言及。4日には「1・5度報告書」をIPCCの科学者が解説する特別イベントも開かれ、締約国、オブザーバー、市民社会の代表も参加して、活発な質疑応答が行われました。

 出席した国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)のエスピノーサ事務局長は、「報告書の内容の豊かさが多くの会話を刺激している」と発言。島しょ国連合を代表してモルディブは、「1・5度報告書」が、「COP24のあらゆる議論に影響を与える『ゲームチェンジャー』(事態を一変させる出来事)となっている」と述べました。

 さまざまな国や団体が会議中に行うサイドイベントも「1・5度」をテーマにしたものが20以上予定されています。

 もともとパリ協定が「1・5度」の「努力目標」に触れたのは、2度上昇でも生存が難しい、島しょ国や後発開発途上国などの強い要求があったからです。昨年のCOP23では、議長国フィジーのバイニマラマ首相が、気温上昇を1・5度に抑える目標で、世界が団結するよう呼びかけていました。

(「しんぶん赤旗」2018年12月6日より転載)


COP24inポーランド “生産大国”で脱石炭の動き・・ポーランド 再エネ支持9割 地元住民ら行動

 【カトウィツェ(ポーランド南部)=岡本あゆ】“石炭大国”として知られるポーランドで、石炭産業に反対する動きが始まっています。カトウィツェで開催中のCOP24(国連気候変動枠組み条約第24回締約国会議)で3日、同国イミェリンの住民らが、地元で進む石炭採掘計画に反対を訴えました。

 32歳の頃から50歳となる今までイミェリンに住んできたというイレク・ゴルニクさんは、「緑の町を守りたい。これは私たちの住まいの問題、くらしの問題だ」と強調します。

 イミェリンはカトウィツェから約20キロの、人口約9000人の自治体。問題の計画は、欧州で最大の石炭採掘企業PGGが所有するジェモウィ炭鉱を拡張するものです。

 新たな採掘は、町の地下わずか約180メートルを掘り進める予定で、町当局は少なくとも6メートルの地盤沈下があると試算。湖の消失など、水系への影響も危ぶまれています。

 地元で教師を務めるアリーシャ・ズドゼクヴィチさんは「町の住宅は、採掘による揺れや地盤陥没に耐えられない」と訴えます。

 国はPGGに環境許認可を与えましたが、町は国や企業に、中止を求める請願を提出。1000人超の住民が署名しました。今年5月には、住民らがカトウィツェで抗議デモを行いました。

 環境団体「ポーリッシュ・エコロジカル・クラブ」のウルスラ・ステファノヴィチさんは、石炭産業に頼ってきた同国でも「気候変動対策への支持は高まっている」と強調します。「世論調査では再生可能エネルギー開発への支持は9割以上だ」

 欧州では脱・石炭の流れが加速しており、ポーランドと並ぶ石炭生産国ドイツが今年6月、脱・石炭をめざす委員会を立ち上げるなどの動きが起きています。

(「しんぶん赤旗」2018年12月6日より転載)