地震学者で前原子力規制委員会委員長代理の島崎邦彦氏は6月16日、規制委の田中俊一委員長と石渡明委員らと面談しました。島崎氏は、原発で想定する地震動(基準地震動)を策定する際に用いる予測式に問題があるとして、審査中の関西電力大飯原発(福井県)などの基準地震動を異なる式で再計算することを求めました。
これを受け、規制委は20日に開く会合で、再計算を実施するかどうか議論します。
面談で島崎氏は、原発の基準地震動策定で、大飯原発などで震源の大きさを推定する際に用いられた予測式「入倉・三宅式」が、垂直や垂直に近い断層面に適用する場合、過小評価になると指摘。4月に発生した熊本地震で得られた詳しいデータをもとに入倉・三宅式を用いて検討したところ、地震の規模も断層のずれ量も実際と比べ「全然足りない」と説明しました。
島崎氏は「より真実に近そうな式があるので、それで(再計算を)やったらどうか」と提案。地震の揺れの程度が大きく引き上がる可能性があるとして「十分考慮すべき問題。ぜひ前向きに検討していただきたい」と述べ、新たな知見を取り入れた再計算は「出発点だ」と強調しました。
面談後の会見で島崎氏は、2002年の長期評価で太平洋の日本海溝沿いのどこでも津波地震が起こると評価しながら防災に生かされなかったことに触れ、「僕の目には、同じことが日本海で再現されつつあると映る。各県で対応をしている最中、今だったらまだ間に合う」と述べました。
(「しんぶん赤旗」2016年6月17日より転載)