福島 貯蔵施設建設進まず
東京電力福島第1原発事故に伴う除染で出た福島県内の汚染土のうち、仮置き場などで保管されている量は1000万袋(約1000万立方メートル)を超えることが分かりました。同県大熊、双葉両町に建設する中間貯蔵施設への汚染土搬入は昨年(2015年)3月に始まりましたが、これまでに取得できた施設の用地は予定地の約1%にとどまります。除染作業が進む一方で施設建設の歩みは遅く、仮置き場解消のめどは立っていません。
福島県内の除染は、帰還困難区域を除き、各自治体が2017年3月末までの完了を計画しており、14年度後半からピークを迎えています。国が直轄で事業を行う地域では、田村市、楢葉町、川内村、大熊町、葛尾村、川俣町で作業が終了。市町村が主体となって行う地域でも住宅除染を終えた自治体があるなど、一定の進展がみられます。
ただ、除染が進むにつれ、仮置き場や民家の庭などの現場で保管される汚染土の量は増加の一途をたどっています。環境省や福島県によると、昨年3月時点で約700万袋だった仮置き場の汚染土は、最新の統計で約1040万袋に急増。仮置き場と現場保管の数も13万ヵ所近くに上ります。
一方、中間貯蔵施設には昨年の搬入開始以来、約4万袋が持ち込まれました。環境省は今年3月中には現在の試験輸送を終え、本格的な搬入への移行を目指します。しかし、建設用地の取得は補償額の算定に想定以上の時間がかかっていることから進んでおらず、同省によると、地権者2365人のうち契約に至ったのは2月末時点で69人のみ。施設は約16平方キロの土地に建設予定ですが、取得できたのは約1%の0・2平方キロ弱です。
仮置き場などでの保管が長期化する中、南相馬市では契約期限を迎えた仮置き場の地権者の同意を得られず、代替地を確保せざるを得ないケースも出ました。各地の仮置き場の解消が進まなければ、住民の帰還への影響も懸念されます。
(「しんぶん赤旗」2016年3月9日より転載)
福島の死者165人増・・消防庁 原発避難長期化などで
総務省消防庁は3月8日、今年3月1日現在の東日本大震災の被害状況をまとめました。避難先での体調悪化で亡くなるなど「震災関連死」の増加により、死者が前年同期比193人増の1万9418人。被災3県のうち最も増えたのが福島で165人増。東京電力福島第1原発の事故に伴う避難の長期化が影響しているとみられます。
同庁によると、遺体の身元判明により行方不明者は同22人減の2592人となりました。被災3県の死者は、岩手が9人増の5132人、宮城が19人増の1万549人、福島が3626人。
家屋の被害を見ると、全壊が6021棟減の12万1809棟、半壊が2689棟増の27万8496棟、一部損壊が2万2481棟減の74万4190棟。いずれも市町村による調査が進み、被害状況が修正されました。
(「しんぶん赤旗」2016年3月9日より転載)