「再生可能エネルギーの割合を高めれば日本のGDP(国内総生産)も増える」・・。IRENA(国際再生可能エネルギー機関)が1月に公表した報告書が話題です。再生可能エネルギー導入によるマクロ経済への影響を初めて世界規模で分析しました。
(桑野白馬)
再生可能エネルギーの割合を2030年までに倍増させると、世界全体のGDPは最大で1・1%(約1兆3000億ドル、日本円で約156兆円)増えるとの結果が示されています。この額はチリ、南アフリカ、スイスの現在のGDPを合わせたものに匹敵します。
世界のエネルギー消費量における再生可能エネルギーの割合を10年比で倍増させ、36%にした場合を想定しています。
特に、石炭や石油を輸入に頼る日本のGDPの伸び率は大きく、最大で3・6%(増加率世界2位)、経済効果が最も少なく見積もられたシナリオでも2・3%(同世界1位)増加すると分析しています。
また、再生可能エネルギー分野の雇用は現在の920万人から2・6倍の2400万人以上に拡大するとしています。
IRENAのアドナン・アミン事務局長は、昨年12月に採択されたパリ協定が各国に「脱炭素化」を速やかに求めたことを指摘。今回の分析結果について、報告書の中で「エネルギー構造の転換は、気候変動だけでなく、経済の活性化に寄与する確固たる証拠となった」と述べています。
IRENA 再生可能エネルギーを世界的に普及させ、各国に導入を促進するため2011年に発足した国際機関。 15年1月現在、米国、日本など約140カ国と欧州連合が加盟。
(「しんぶん赤旗」2016年2月7日より転載)