州下院議員 クリス・リードさんに聞く
米ハワイ州で昨年成立した、2045年までに州内の電力を100%再生可能エネルギーでまかなうとする法律を推進したクリス・リー州下院議員(エネルギー・環境保護委員会委員長)に話を聞きました。
(ホノルル=島田峰隆 写真も)
この法律はとても良いタイミングで成立しました。ハワイ州は10年近く前、2030年までに電力の40%を再生可能エネルギーでまかなう目標を決めました。その後、再生可能エネルギーの需要が増え、電気事業体はいま、今後30年を展望した投資計画を考えています。法律の狙いは、新たな投資が再生可能エネルギーの活用へ向かうよう促す点にありました。
安全保障になる
また海面上昇や海岸浸食などハワイでも気候変動の影響がみられます。温室効果ガスを排出する石油依存の現状を抜け出し、次世代への悪影響を緩和するため役割を果たさなければなりません。
ハワイ州はエネルギー源として毎週、石油を移入していますが、備蓄は21日分かそれ以下しかありません。もし巨大ハリケーンや津波によって定期的な供給が途絶えたら孤立します。石油移入への依存を減らし、地元の再生可能エネルギーで経済を強めれば、州にとっても国にとっても安全保障になります。
法律をめぐる議論では、再生可能エネルギーの活用に懐疑的な意見が一部にありましたが、過去10年間のハワイの実績を踏まえれば、この方向こそ進むべき正しい道です。
長い目で見ても
化石燃料は商品であり、高価になったり、抽出が難しくなったりします。一方で再生可能エネルギーは技術です。革新が進むし、価格も安くなります。長い目で見ると石油より信頼できます。
最新の世論調査では大部分の住民が再生可能エネルギーの活用を支持しています。州の産業の一つである米軍も、彼ら自身の安全保障と自立した持続性のために、再生可能エネルギーの活用に取り組んでいます。
ワシントンでオバマ政権幹部と話した時、ハワイは再生可能エネルギーの活用が政治的に可能で、米国のどの地域よりもその方向に進んでいるという話になりました。これは、今はハワイに特有なことですが、気候変動の影響が世界中で感じられるなか、米国全体や世界全体に広がる動きになると思います。
(つづく)
(「しんぶん赤旗」2016年1月5日より転載)