福井県原子力安全専門委員会は12月10日、会合を開き、再稼働の地元同意手続きに入っている関西電力高浜原発3、4号機(同県高浜町)の安全性について、これまで行ってきた審議をとりまとめる報告書案を審議しました。西川一誠知事は委員会の審議状況もふまえて同意判断を行うとしています。
報告書案は「原子炉の安全確保のために必要な対策は確保できている」としていますが、委員(*田島俊彦・福井県立大名誉教授)からは、地震動想定や、増え続ける使用済み核燃料、テロ、放射能汚染水、設備の高経年化などの対策の不十分さを指摘してきたのに盛り込まれていないとして報告書案に反映させるよう求める発言があり、中川委員長は「どう盛り込むかは検討したい」としました。
問題を指摘した委員は「『基準地震動』700ガルでは不安で、不十分だ」「過酷事故対策、テロ対策が、はっきりしない」とのべました。また、再稼働すれば増え続ける使用済み核燃料の問題でも「現時点まで日本では、なんの解決策も出ていない」と指摘。これに関連して中川委員長は高浜原発の使用済み核燃料プールについて「(再稼働後)7年半で満杯だ」とのべました。
委員(*望月正人・大阪大学院教授)の「高経年化問題が(報告書案に)出ていない」とする意見には、同調する別の委員もいました。
この日の会合に先立ち、日本共産党の佐藤正雄県議が、傍聴者と専門家委員の質疑応答や、県民説明会の開催、報告書案への意見の募集と反映を強く要望していましたが、傍聴者との質疑は行われませんでした。会合後、中川委員長は、佐藤県議に要望があれば委員長として別の機会に説明責任を果たすと話しました。
(「しんぶん赤旗」2015年12月11日より転載)(*=山本雅彦)