【パリ=島崎桂】パリで開催中の国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で12月1日、森林の多い国々の政府が、森林は「地球温暖化対策のカギになる」として保全を強化する方針を表明しました。
森林は温室効果を持つ二酸化炭素を吸収し、温暖化を抑制する機能を持っています。しかし、一部の国で農地拡充や商品樹木の栽培に伴う森林開発が進行。世界の森林は年1200万ヘクタール(日本の面積の約3分の1)のペースで減少しています。
国連によると、世界の温室効果ガス排出量の約11%は森林減少に由来しており、11月30日に行われた各国首脳の演説で、多くの国が森林保護の必要性を指摘していました。
ペルーのプルガルビダル環境相は、「森林の減少をくい止めるための国際的な努力に取り組む」と強調。ドイツ、ノルウェー、英国の3カ国は、森林の多い国での温室効果ガス削減を条件に、今後5年間で50億ドル(約6000億円)の支援金を拠出すると発表しました。
COP21に参加する195カ国と欧州連合(EU)は1日、最終合意に向けた事務レベル交渉を開始しましたが、法的拘束力の有無や途上国支援をめぐる各国の溝は残ったまま。世界の平均気温上昇を産業革命期(1850年頃)から「2度未満」に抑えるとの目標に見合った内容で合意できるか、依然として不透明です。
各国は5日までに合意案を策定し、7日からの閣僚級会合で詰めの協議を行います。閉会日となる11日までの合意を予定していますが、協議難航の恐れから一部では会期延長の見通しも出始めています。
(「しんぶん赤旗」2015年12月3日より転載)