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酪農家自殺 東電と和解・・「原発さえなければ」と遺書

『生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!』福島原発訴訟原告団・弁護団Webサイトより
『生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!』福島原発訴訟原告団・弁護団Webサイトより

 東京電力福島第1原発事故の約3カ月後に自殺した福島県相馬市の酪農家菅野重清さん=当時(54)=の妻バネッサさん(37)ら遺族が、自殺は事故で酪農ができなくなったことが原因だとして、東電に約1億2000万円の損害賠償を求めた訴訟は12月1日、東京地裁(中吉徹郎裁判長)で和解が成立しました。

 弁護団によると、東電側から謝罪はないものの、自殺と事故の因果関係を前提として和解金を支払う内容。金額については非公表といいます。

 バネッサさんは同日「十分満足できる内容ではないが、一日も早く平穏な生活を取り戻すため、早期に解決することにした」とのコメントを出しました。

 訴状によると、菅野さんは相馬市で牧場を経営し、乳牛約40頭を飼育していましたが、2011年3月の原発事故で一時原乳が出荷停止となるなどしたため、牛の処分に追い込まれました。同年6月、自宅に隣接する堆肥小屋の壁に「原発さ

えなければ。仕事をする気力をなくしました」と書き残し、自殺しました。

 東電側は当初、事故と自殺の因果関係を否定し、争う姿勢を示していました。

東京電力の話

 菅野さんのご冥福を心よりお祈りいたします。訴訟に関する詳細な内容については、コメントを控えます。

(「しんぶん赤旗」2015年12月2日より転載)